1.「勇者ってずるい!」ステータス上昇編
注※短めなのと読みやすさ重視で会話文を中心とした展開になります
「勇者ってずるい!」
魔族の領土の最奥の魔王城。その中の謁見の間に魔王の声が響いた。
「は?」
魔王の側近は呆れた声で聞き返した。
「勇者ってずるい!」
「二回も言わなくても聞こえていますよ。で、何がずるいんですか?」
「だってさー、あいつらレベルアップとかするんだぜ。レベルアップ。魔物倒すたびにどんどん強くなってさー、こっちは何回も戦っても全然力上がんないし。不公平っしょ」
「魔王様はすでにレベルカンストですからね。もう何があってもぜーったいに成長しないんですよ」
「そこ強調する必要ある?」
数日後
魔族の領土の最奥の魔王城。その中の謁見の間に側近が満面の笑顔でバケツ並みの大きさの容器を手に持ってルンルンでやってきた。
「魔王様!見てくださいこれ!」
「なにこれ?すいぶんたくさん・・・木の実?珍しい形だな」
「これらは力・魔力・すばやさ・命などなど力がアップする木の実たちなんですよ。この前から栽培進めてて、やっと完成したんです!」
「すげーじゃん!これって確か希少植物に稀になる超稀少の種だろ!」
「はい!魔王様はレベル上がらないですけど。これを食べれば強さ上がりますよ!」
「おぉー!」
「というわけで、今日から魔王様の食事は木の実尽くしです!本日のメニューはナッツサラダでっす!」
「うわ!すげぇ!丼というかバケツいっぱいにあんじゃん!側近最高!んじゃ!いただくわ・・・・硬っ!んでもって濃厚な緑臭が!?でもってまずぅっぅぅっぅい!?なにこれ!?毒!?側近さりげなく暗殺しようとしてる!?」
「いや、そういう味なんですよ。おかわりありますよ」
「うっぷ・・・!な、なぁ、ところでほら、他に肉とか魚喰いたいんだけど。せめて他の食材と一緒に調理とかして出してよ」
「無理ですよ」
「へ?」
「この木の実は熱を通したり、ほかの異物と混ざると効果薄くなるんです。だからナッツだけのサラダくらいにしか使えないんですよ」
「まじで?」
「マジですよ。ついでに言うなら魔族は総じて、特に魔王様は木の実の効きが鈍いので、最低でもこれの倍は食べてようやく常人1個分の種の効果が出るかな?というレベルです」
「・・・いやがらせ?」
お読みいただきありがとうございます。
なおこんな感じのがだらーんと続きます。