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奇想小話『風の便り』
ふと、気がつけばいつの間にか所持している風の便り
時折似たような事もする身、こうして届けられる手紙を見て、感謝の一つでもと思い
ちょっとした茶菓子と「いつもお世話になっております」といった感謝の手紙を縁側に置いておいた。
便りの配達人は見ることのできない者と思ってはいたので、縁側から離れしばし放置しておいた
茶菓子と手紙は気がつけば無くなっており、茶菓子の器を回収しようとした所
中に小さな鶯の折り紙と共に手紙が一つあった。
手紙の内容は伏せるが、手紙からは爽やかな梅の匂いがした
花の香を風のたよりにたぐへてぞ
鶯さそふしるべには遣やる
花の香を風のたよりにたぐへてぞ
鶯さそふしるべには遣やる
古今和歌集に収録されている和歌
風の便りに春の花の匂いを運んでもらい、それで鶯を呼んできてほしい(意訳)
という内容
今回は逆に風の使者(風の便り)が春を知らせる鶯の折り紙と共に、本当に手紙に春の花である梅の香りの付いた手紙を送ってくれた
ある意味春に呼ばれたのか、なんなのか。