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奇想小話 『春一番』
随分と暖かくなり、寝心地が良くなってきた春の季節
よい時間になるまで布団の中でまどろんでいた所、縁側の窓を激しく叩く音が聞こえたので
タンスの角に小指をぶつけた時のような顔をしながら、縁側に向かうと春一番が窓を叩いていた
「おはようございます!おはようございます!今日は暖かくなりますよ!!」
こう、屈託ない笑顔で言われてしまったので怒る気にもなれず、むしろ春の到来を教えてもらった礼をしなければいけないなと思い。
こちらも挨拶を返し、茶菓子を幾つか袋に包み春一番にあげた。
「ありがとうございます!!家族と一緒に食べますね!!!」
「あと!来週の月曜日には春二番が再来週の月曜日には春三番が伺います!!よろしくお願いします!」
元気がいいなぁと思いつつ。
ふと、家族という言葉が気になり
春雨とかいつ来るかわかる? と尋ねると
「春雨……ああ!妹の春時雨は来月の初めに、末妹の桜雨は来月末の月曜日に、末弟の春霖は再来月の初めの日曜日に来ますよ!!!」
そう元気に教えてくれたので、
家族……多いんだね、喧嘩せずに食べてね。
とお礼の意味も込めて、茶菓子を追加で渡してあげた。
春一番を見送り、隣の家の窓をバンバンと元気よく叩くのを聞きながら、カレンダーに教えてもらった日付に風が強い日、傘がいる日とそれぞれ記入した。




