奇想小話 『山の神の日2』
話に聞いた泉まで近づくとまた違った空気に変わる。
なるほど別の世界の神かと思いつつ、綺麗に装飾された社を指差し、この社を作った好漢からの使いできたと声を張り上げると泉の中から一人の女神が現れた。
手短に要件を伝え協力してほしい旨を伝えると。即座に快諾してくれた。
「ありがとうございます。あの方にはこの社を作っていただいた恩もあります。それに加えあの方は信念を持ち気風もよく顔もいい。」
「正直恋いておりますがゆえ何とかいたしましょう」
としばらく頭を捻り、一度泉に沈んだ後手に泉の藻を持ち再び浮上してきた。
「良い一計が思い浮かびました。当日はこの藻を耳に付け私を信じるようお伝えくだいさいませ」
「……それに、もしかしたら色々と丁度よいタイミングなのかもしれません。では私は少々準備がありますので言伝ての方をよろしくおねがいします」
と言い、するすると泉に沈んでいった。
夜も近いし手早く済ませてくれて助かったが……少々あの好漢が心配になってきた。
ここに移り住んでから神に好かれる人物は何度か見てきたが、あの好漢は少々好かれすぎるな。
とやれやれ顔をしながらこちらも足早に下山した。
下山し好漢の元に戻る頃にはすっかり夕暮れになっていた。手短に話してくれた泉の女神に感謝しつつ心配ないと言伝てと貰った藻を渡す。
「わかった!ならば座して待つとしようか!」
とすっかり気迫のある落ち着きを取り戻し、山の神の日までいつもどおり過ごしていた。
私の方はというと行く末が気になったのと女神の策が気になり当日まで共に過ごすことにした。
そして迎えた当日、家の扉を開けるとかなり深い霧に包まれていた。一寸先は視ることができるが1間先は見えなくなっている。
なるほど、これならば木と人を間違えるどころか人も木も数えることは難しいだろうと納得した。道中迷わないか?と訪ねた所
「ここの山の神より詳しいから大丈夫だ」
と笑顔で返し、耳に藻をいれ霧の中に消えていった。




