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奇想小話 『うまみ』
ちょっとした用事が終わり、単に帰宅するには惜しい時間だったので
フラフラと道を歩いていたら白米を片手に人だかりができていたので
何か面白い見世物でもあるのかと思い、ヒラリヒラリと避けつつ中に入っていくと
立派な馬がヒンヒンと鼻を鳴らしながら、その場で佇んでいた
しばらく見ていると店主が現れ、
「見るだけなら良いけど、ここで何かを食べるならちゃんと払ってね」
と言ってきたので、どういうことです?と訪ねてみると
「……仕方ないねぇ」
と言って一杯の茶碗を差し、顎で食べてみろと言われたので食べてみると、たしかに不思議と美味しい
あっという間に一杯食べ、もう一杯食べそうになったが
家からは遠いし、馬の持ち主が現れて馬を連れて行った時の事を考え
グッとこらえて一杯のご飯と見物料を払いその場を立ち去った




