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奇想小話 『無くなりそうなテープ』
顔なじみの骨董品屋の店員が少し大きめのテープを見つめながら、うんぬんと唸っていたのでどうしたのかと聞くと
「不思議な商人が不思議な物を安く卸して行ってね。見た目に反して長さが800mもあるテープなんだが」
「その対価として認知すると異常に残り少ないと感じてしまい、一つあれば十分なのに予備の物を買ってしまう特性があるんだ」
十分な長さがあるから使っても良いと言ってくれたので、試しに使ってみると確かに見た目に反して延々と使える。
しかし使う度に予備の物を用意しないとという衝動にも駆られる。なるほどと、と言った顔をしながら手は勝手に新しいテープに手を伸ばしていた。
「だろう?当初はこれで大儲けできると思っていたんだが、造れば造るほどもっと造らないと行けない衝動に駆られたみたいでな」
ああ、なるほど。それで潰れたと……
「まあ、そういうこと」
……暫くの沈黙の後、鈍感で使い切りできそうな人を探しておくよと返しそっと3つ目の新しいテープを元の場所に戻しながら言った。
「正直、助かる」
と、目の前の格安で引き取ったのだろう大量に積まれたテープを見ながらそういった。




