奇想小話 『海の魔女の家-③』
次の日、約束していた浜辺で待っていたが一向にこないので浜辺をうろついて見たら
地域住民に囲まれている亀を発見した。亀の姿が聴いていた特徴が一致したのであれが使いの者かと思い向かうと
「綿津見様と豊玉姫様はお元気ですか?」
「たまには陸に上がられていただけると幸いです」
等の言伝や様子の質問攻めにあっていた。爺になるつもりは無いが助けてやろうと人をかき分けて助け舟を出してやると、ありがたいとばかりに亀が乗り込んだ。
……まあ、その後乗るのは私の方だが
「いやぁ、助かりました。普段は何気ない亀を装っているのですが。嵐で打ち上げられた亀と勘違いされて助けられた時にバレてしまいまして……」
ブラブラと散歩をしていたら良い店も見つかりましたし気にすることはないと伝えつつ、
そう言えばこの世の外に来るためには最低でも自身の何かを一つ捨てなければならないものですが、手紙の相手はこちらに来る時何を対価にされたんですか?と聴いてみたら
「時」
と短く返され、以降は他の他愛のない話しで雑談しつつ海の底にある都にたどり着いた。
海の魔女からは注意するように言われていたが随分と歓迎され丁寧な扱いを受け拍子抜けしたが、
目的の手紙を渡した際に、従者に今日は昨日の詫びも込めて一日二日楽しんでいかれると良い、と更に随分と良い歓迎をされた。
-なにか籠絡しようとしているな-
魔女からの忠告が無ければ、一週間かそれ以上滞在していた可能性があるな。と危機感を覚えつつ
しかしながら、この生活も悪くないと迷いが生まれるくらいには現在もてなされている。
-籠絡したくなるほど、そんなに優秀でもないんだがなぁ-
と独り言に苦笑いしつつ、この世の事を思い出し、この世の外を思い返し、やはり帰るべきか。と腹を決め
さてどうしたもんかと思案を始めた。
綿津見と豊玉姫:浦島太郎で出てくる乙姫様の元ネタあるいは別名称、綿津見は乙姫様の父親に当たる存在
対価について:この世の外に来るためには最低でも自身の何かを一つ捨てなければならない。大体は名前だが、綿津見と豊玉姫という名前が出てくることから他の物を捨てたようでその捨てたものは「時」という話
いつかこちらにも、猫が猫又になるまでというタイトルの小話を上げたいと思います。




