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奇想小話 『過去電話』
よく行く馴染みの骨董品店には店の隅に古い電話ボックスがある。
そういえば使われている所を見たこと無いなと近寄りよく見てみると、奇妙なことに小銭を入れる場所はなく、テレホンカードを入れる場所しかない。
これは?とこれまた馴染みの店員に詳細を尋ねると
どうやら、それは過去の自分に電話をかけることができるみたいで、それ以外の用途では使えないらしく
しかも過去の自分に未来を話すことは禁じられており、テレホンカードも今日日見ない物だ。
昔はともかく今は使用されているのか?
と聞いてみると良く使用されているらしく、内容も人によって様々で、
大昔にした約束のことを昔の自分に聞いていたり
記憶を失った人が昔の自分を知るために電話をかけていたり
やる気に満ちていた昔の自分に激を飛ばしてもらったり
単純に雑談のために使ったり
と思ったより色々な使われ方をされているようだった。
そうかそうかと眺めていると、
お前もどうだ?とカウンター下から久しぶりに骨董品店らしい物を取り出して来たが、今の自分には満足しているし、思い出さないといけない約束は覚えているよ。
と今日日見なくなった薄いカードを見つめてそう返した。




