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悪意のある普遍的な思想

ソウゾウ式シミュレーション説

作者: レー・NULL

 いったい誰が想像しているというのだろうか、ここまで絶望に満ちた残酷な世界をだ。人の根底に埋め込まれた攻撃性を取り除くことは叶わず、どれだけ文明が進歩しようとも、それを扱うものにどれだけの変化があると言えるだろう。そして、地獄は加速していき、破滅を待つのが最良なのだ。


 この目に見える景色が、それだけ現実性が無かろうと、見えているのが全てであり、それが世界と言うものである。例え、窓から脳幹が覗いていようとも、赤と青と紫のステンドグラスが監視する中で、うごめく肉壁の電車が通り過ぎた後には、日常的などす黒い悪意が花開き、バッグを背負って会社へ行く。


 選択し、善意と、悪意と、その他はあるのか。悪意は人を、安直に突き刺して、善意は人の、首をギリギリと締め付けるだろう。何もしない選択肢も、無い事も、無くは無い。それはそれで他人の地獄へ行くに過ぎないが、少なくとも、こんな世界を想像した存在は、相当に性格が悪いのだろう。


 脳が処理する光景を、どれだけ現実に近しいとも、それが本物であると保証してくれる存在は無く、それが世界と言うものである。網膜に届いた、波ともとらえぬ粒が、脳内にある第三の眼を貫く。他人を飲み込んだ螺旋が、肉に埋もれた頃には、刹那的な善意が眼球を潰し、心臓の鼓動に手を当てる。


 選択し、正しさと、間違いと、その他大勢。間違いはその結果によって悪夢を見せ、正しさはその盾によって人の未来を折るだろう。その他であろうとも、生きる意味を見出すことが出来ると言えるのか、それはそれで地獄と言えるだろう。こんな世界を想像しているのは、根が曲がっているのだろう


「世界は認識の数だけ存在し、世界は認識によって成り立っている。そして、人は悪意から逃れる術はなく、それが世界となるとすれば、認識しない以外の方法は無い」


 いつか、開放される事を願い、身体が動くことは無く、頭の中だけで完結している。それぞれの地獄がある中で、数多の人がそれに甘んじている。本当ならば、突き立てるべきは自身の首であるというのに。


 誰しも想像しているのだろうな、ここまで絶望に満ちた残酷な世界をだ。人の根底に埋め込まれた攻撃性こそ、全ての悪意の根源であり、どれだけ時代が進もうとも、それを持つものにどれだけの変化があると言えるだろう。そして、地獄とはそれぞれの心の中にあり、死を待つのが最良なのだ。

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