5/5
05 貴族たち
この町には変わり者の貴族がいる。
そいつは奴隷を買って、普通の人間と同じように扱っているという。
奴隷に愛情を注ぐなどありえない。
貴族がそんな事をしていいはずがない。
「誰もがみな平等。人はみな同じ」
だ、などと。ふざけている。
そんな事をしたら、他の奴隷たちも「自分達も人間の一人だ」と思い上がってしまうではないか。
だから、私達はその貴族を正義の名の元に裁く事にした。
我々の国では、炎は罪や汚れを清める、聖なる光。
本当に正しい物なら、炎の中でも生き延びられるはずだ。
「さあ、火を放て! 油を投げこめ!」
どうせ、そうはならないだろうがな。