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04 終わりの朝
たくさんの人達が炎の中に消え、たくさんの人達が黒い煙の中で倒れていきました。
そんな中、一番に逃げ出してもいいはずだったあの方は、最後まで残って皆の脱出の手助けをしていました。
私も倒れてたところをあの方に助けられた、その一人です。
肩を貸してもらいながら、私は必死に言いました。
どうか私を置いて逃げて。
けれど、あの方は最後まで私を助けてくださいました。
最後には立場が逆転。
苦労しながらも、力尽きたあの方の体を背負って屋敷の外へ。
でも、敵は炎と煙だけでない。
外にもいたのです。
ずっと。
「一人残らず始末しろっ! 逃がすな! 危険思想に洗脳された奴隷たちが、一人前に自分の権利を主張し始める前に!」