夢のない話
のどが渇いて目を覚ますと 机にお茶が入ったコップが置いてある
コップをつかんだ瞬間に全身に雷を受けた感じがして手を放した
体を伸び―してベッドから立ち上がった
カーテンを開けるとどんよりした空が映っている
開けれるだけ窓を開けて空気を吸い込む
部屋を出た
看護師さんが俺を止めた 竜さん 毎日お薬をしっかり飲んでください
え?お薬なんておれ飲んだ覚えないよって顔をして 看護師さんを押しのけてロビーに向かった
ロビーのテレビの前に座っていると 隣から声をかけられた
「お きみテレビ見てるの初めて見たけどどうしたの?」
そんなに気になるか?
看護師さんも気になってやってきたらしい
話によるとずっと俺は部屋にこもっているから 定期的に看護師さんが見に行ってたらしい
うー?俺にはわからない話だな...
とりあえず みんなじろじろ見てくるので部屋に戻った
「何だったんだよ」
部屋に戻ってベッドに座り込んだ瞬間に視界が暗転した
「うっ」
目が覚めるとコップに入ってたお茶が空っぽだった
あれ? 継ぎ直すともう一度飲んだ
「やっぱりおいしいな」
手帳を見ると 来週退院の予定である
部屋を見渡すとカーテンと窓が開いている 看護師さんがあけたのかな...
メモ帳を見る 相変わらず何も書いてない
退院後にすることぐらいしか書いていない
本を読んでいると 看護師さんと友人の狼が入ってきた
「おう竜 元気か?」
自分が声を出そうとしたときに意識が暗転した なんでだろう
「おう 俺は元気だぜ!」
狼は首をかしげると 差し入れの飲み物やお菓子を冷蔵庫に置いていった
着替えも交換してくれた
「お兄さんいつも助かりますw」
看護師さんが見ている
看護師さんにだだこねて 彼を正面玄関まで送っていいか聞いた
「貴方はまだ安静にしてなさい」
「なんで?」
「主治医からの指示です」
主治医って誰だろう...
看護師さんと狼が部屋から出て行ったあと 急な尿意に襲われてトイレに走って行った
「ふぅ~すっきりした」
部屋に戻る
お昼寝に突入した
「ねえ」
誰かのささやく声が聞こえる
「勝手に交代しないでくれないか?」
俺の心臓が張り裂けそうに痛んだ
痛みで目を覚ました
僕は気を紛らわせるために読書を開始
お風呂
朝風呂争奪戦に勝ち取り 久しぶりに湯船につかる
温かい
いい感じ
眠くなってきそう
「寝たら死ぬ」
うろこブラシで体をごしごし
おお気持ちい
予定時間いっぱいまで風呂に使っていた
部屋に戻った
数日前に大部屋に通された
やかましい人が多いので一日中うるさい
布団に入ると隣から
「今開いてる?」
という 所見性別不詳な声が聞こえてくる
隣を見ると 初見だと引いてしまうごついドラゴン君が顔をのぞかせてきた
「あのさ」
彼が言うには 僕も少ししたら退院 でも家族と一緒にいたらまた病んで病院送りになるの嫌
一人暮らしするにも寂しいから一緒にしないか?っていう
「僕はいいけど...ちょっと問題があるな」
といい もう一人の自分が許可するかかどうかを聞いてみた
すると彼は
「あの子はもう話したよ 多分大丈夫だと思うよ」
と笑顔で話しかけた
ちなみに大部屋は 自分含めて6人いる
右に三人
左に僕とドラゴン君がいる
「そういえば 君はどうして入院してるの?」
ぼく? それ僕に行ったの? 僕はねえ
「はっきり言って知らない」
そうなんだと言い そのあと彼が口を開いた
「薬物依存」
「ブロンとか ああいうやつ」
といい 彼は一口大の丸い錠剤みたいなのを口に放り込んだ
「ラムネ 口が寂しいからね」
話しているうちに消灯時間がやってきた
二人はもう一度顔を見合わせると笑顔で眠りについた