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雨の中2

 降りしきる雨の中私はしばらくロンの腕の中で泣いていた。ロンはその間黙って抱き締めてくれてはいたけども、少し涙が落ち着いてきたあたりでやることがあると私から離れた。

 ロンが向かうのは今も動かないあの男のもと。


「お嬢様、ちょっと目をつぶって耳をふさいでてください。すぐに終わりますんで。」






 ーーーーあの時のロンは………怖かった………。

 目の前の惨劇が始まると本当にとても見ていられず、すぐに言いつけ通り耳も目もしっかり塞いで居た。

 後で聞いたところ私を襲ってきた男は、曰く致命傷にならない程度にお仕置きして木に縛り付けて置いたのでそのうち誰かが見つけるだろうとのこと。


 男には少しも同情は出来ないが、あんなことをやってのけるロンって一体…………。




 ーーーー男の処理が終わるとロンは手早く私に絞った自分のスーツをかぶせ、私の手を取り再び雨の中を早足で歩き出した。


 やっぱり雨は寒かったけど、スーツのおかげで直接雨が当たらなくなったのと、手をつないでくれたので不思議とさっきまでの寒さは消えていた。


 ーーーー自分では結構遠くにいたつもりだったのに実は屋敷とは反対方向に向かっていただけでわりと学校の近くだったと気づいたのは校内の駐車場についたときだった。

 そして着いた途端に車に再び放り込まれ屋敷に帰宅となり、すぐに何故かロンに抱えられ自室のベッドに放り込まれた。

 この間ロンはずっと無言を貫いていた。


 ーーーーやっぱりもう口も聞きたくないくらい呆れてるのかな。もう、辞めたいよねきっと………。また煩わしいと思われてる。


 胸の中が不安とドロドロとした感情でいっぱいになってくる。まだ全身びしょ濡れだからだろうか、寒気がしてくる。

 そっと見上げればそこには、何故か何故なんだか



 ーーーー上半身に一糸まとわぬ姿のロンがいた。



 ーーーーは?


 私、の、部屋、だ、よね……………。

 あれ?私、えっと……………。


 え?


「あ、あの。なんで、あの、その格好はなんでしょうか。」

「どこかの誰かが急に土砂降りの中飛び出してくれたおかげでびしょ濡れなもので着替えてます。風邪を引きたく無いですしね。だいたいおとなしく屋敷に向かっていただければ良かったのに、反対方向に行かれていたようで。おかげでこの雨の中屋敷と学校を往復する羽目になりました。それにこの格好で屋敷をうろつけば迷惑でしょう。ここなら俺の着替え有りますし。」

「………。貴方の服がなぜ私の部屋に有るのかは凄くきになるんですけど、それよりもしかしてロンは私を追いかけてくれたの?」

 さっきまでの不安が溶けていく。


「………服は何かの有事の際用です。現に役に立ってるでしょう。それから、追いかけるのは当たり前でしょう。こんな雨の中お嬢様を放り出すほど薄情ではないですよ。………それに、俺も確かに言い過ぎたのも悪かったですし。ちょっとイラついてたもので…………すいませんでした。」 


 ……………。

 ……………。

 ……………。


「何ですかその、鳩が豆鉄砲喰らったような顔は……………。」

「……………。だっ、だって、ロンが今、私に、私に謝ったの??」


 雨の中の寒気にやられて私はいよいよバカになったのかしら?ロンが私に謝るなんて!!!  

 服に関して有事の際ってなによ!とは思うけど、それよりも気になるのはロンが謝ってきたこと。罵られるのはなれているけど、こう優しく謝られるのは慣れてない。


 言葉にならず口を、パクパクしていると上半身に一糸まとわぬ姿からシャツを羽織っただけのロンが近づいてきた。


「いや!ボタン!ボタン!閉めなさい。中見えますから!」


 上だけと言えども美形の裸は目に毒だ。引き締まった体に無駄な肉は存在しない。むしろ男らしくて見ているこちらが恥ずかしいので目のやり場に困る。自ずと顔が赤らんでしまうのが自分でも分かってしまうから悔しい。それなのに、私のそんなそぶりを無視するかの様に近づいてきた。真っ黒い瞳と目が合うとつい惹きつけられてしまう。そんな瞳はいたずらっぽく、それでいて怒気を含んでいるように細められた。


「シャツの中が気になるならまた脱ぎますので言って下さい?それより、レオやあの変態にどこを触れられました?」

 レオには触られてないけど、変態に…と言われると先程の恐怖が蘇ってきてしまった。無理やり捕まれた手首、耳から首筋へと這われた舌の感触、這われた太股。どれもゾワリとするような不快な気分と恐怖になる。自然と堅く目をつぶり触られた箇所をおさえてしまう。

 そこが酷く汚れているようで、吐き気すら覚える。気持ち悪い………。


 そんな事を思い出していると、突如押し倒され小さな悲鳴をあげてしまった。そっと目を開ければそこで上になっているロンと目が合う。


「消毒…。」

 小さく呟くと手首に、耳に、首にと優しく口づけをしていく。


 ロンの息遣いが感じられ、その柔らかくも温かい唇に触れられた所は熱を帯びていく。そこに恐怖はなく、寧ろその熱が羞恥心をくすぐる。心臓の音は酷く早くうちつけ聞こえてしまうのではないかと思うほどだけど、それすら触れられている事を受け入れてるようで、余計に羞恥心を掻き立て徐々に妖艶な気分にさせられる。

 しかし、流石に太股まで手が這った時にはただただ、羞恥心だけが勝り突き飛ばしていた。


 恥ずかしくてまともにロンの顔が見れない。心臓の音が、煩い。さっきまで寒気を感じていた体が熱い。


「すみません。嫌でしたか?」

 不安げにロンが呟く。

「ちがっ!違うの!いや、違わなくて!……恥ずかしくて、その、あの。違うの……。あ、そ、それに!レオには何もされてない!」

 茶色の瞳が熱をもち潤む。本人に自覚はなくてもまるで誘っているかの様に。

 その瞳の反応が嬉しくてロンは更に唇を消毒と言って重ねてくる。

「駐車場で、キスされてたのに?」

 さらに口づけは続く。温かく、それでいて力強く。

「ちが…。レオが、虫が、ついてたって。払って、くれて。」


 あの野郎……。


 レオがわざとキスしたように見えるよう自分に見せつけたのをロンは理解した。だけど、それはそれで役にたったなとほくそ笑み何度目かの口づけをする。


 体が熱くて、心臓が五月蠅くて、目が回る。もう駄目………。


 アイネスはそっと意識を手放した。




ここまでお読みくださりありがとうございます。

文書の粗が酷いので所々加筆修正していきます。

もしかしたら明日は更新出来ないかもです。すいません。


ゆっくり不定期更新予定です。


※7月8日 レオの名前が間違っていたので修正しました。

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