学友2
「……………。」
「一応聞いてみるけど、レオは私の婚約者のことを知ってる?」
「…………。」
一応レオにも婚約者騒動について一通りはなしてみた。聞いていたレオはなぜか虚ろな目をしてるけど。
「…………。」
レオ?おーい。レオー??
呼びかけにこちらに顔を向けてはくれるもなぜか虚ろな目のままレオは黙っている。これにはナナと顔を見合わせてクビをひねることしか出来ない。どうしちゃったの?
結局そのまま虚ろな目でフリーズしていたレオは、お昼休み終了のベルがなる少し前に私達に別れをつげて教室に戻っていった。
ーーーー本当にどうしちゃったのかしら?
お昼休みを終え午後の授業をうける。といっても学校は2時には終了となるため軽い授業ばかりで進められる。その後はクラブに入るなり自身で選択した教科の補強講座に出席するなりして過ごす。もちろん家に帰ることもできる。
私はクラブにも所属していず、気になる講座もなかったため家に帰るのみだ。もちろん基本的に帰りも条件付きの徒歩通学なのだが、我が家の場合は車の送迎になるさいは直接私に家の者からの伝言がくるようになっている。晴れていてそのまま徒歩帰宅する際は入り口でロンが不機嫌な顔をして待っている。彼は1度でもいい顔をして待っていてくれた事はない。なぜそんなに不機嫌かと理由を問うても絶対教えてくれた事はなかった。嫌なら来なければ良いのにと言えば、だったら最初から車にしてくださいとお小言を言われるので出来るだけ不機嫌には触れないようにしている。
そして今日は、先程車にて送迎になると伝言がきていた。もちろん車の送迎の運転手までロンがしている。
窓を見れば今にも雨が降り出しそうである。午後からは天気がだいぶ崩れるらしい。
さて、待たせると悪いし帰ろうかな。身支度を終え車へと歩き出す私にレオが呼びかけてきた。
「アイネス。僕は君の婚約者を知っているかも知れない。ここだと他の人の目につく、アイネス今日は君は車だろう。駐車場の近くで話そう。」
なんてことだ!こんなに近くに知ってる人が居るなんて!!私の自由は目前になったわ!!
私は勝ち誇た気分になれた。ああ、早く教えて欲しい。明日にはこの結婚騒動には終止符をうてる。そうすれば私は自由よ!
私の足取りは軽くそれを見ていたレオは不思議そうな顔をしていた。
「でも、どうしてそんなに結婚が嫌なの?僕の記憶が正しければきっと君は幸せになれるんじゃないかな?」
「うーん。結婚が嫌なんじゃ無いの。顔も覚えられない様な人と、恋もしないではいあしたから夫婦です。ってなるのが嫌なの。レオは恋もしないで夫婦になれる?」
「確かに恋は大事だとは思うよ。」
レオはフフフと焦茶色の瞳を細めて笑う。
………あれ?この顔どこかで……。
見たことがある気が………。なんか引っかかるわ。だけど、それがいつだったか覚えてない。最もレオを毎日見てるからなにか勘違いしたのかもと思えば納得がいく。
しばらくたわいの無い会話をしていると駐車場へついた。すると、レオは周囲を見渡したかと思うと急に私の肩をつかんで動かした。
「はい、アイネスここに立ってじっとしてて。ほらゴミがついてるよ。」
「え?」
不意にレオの手が私の頬をかすめたかと思うと、息遣いが聞こえるほど端正麗しい顔が近づいてきた。
「び、びっくりしたわ!いきなり顔を近づけるなんて。」
流石に私の顔が真っ赤に染まる。
「ごめんねー。虫が居たみたいだけど、よく見えなくって。」
えへへといたずらっ子の様に笑われるとどこか憎めない。まぁいいわ、それより婚約者って…
「なにしてるんだ?」
怒気を含んだ声とともに肩を捕まれ後に引っ張られてしまった。バランスを崩した体は後にフラめくも転ばずにポスンと背後の人物に支えられたた。
もう!なにするのよ!ろ…………
ろ、ロン………?
え?
ちょっ………。
あの……。
怖いんですけど。
そこにはロンもとい悪魔が降臨していた。
「俺を待たせるだけで飽き足らず、こんな男に捕まってるとは。バカは早く車に乗れ。お前はさっさと消えろ。」
「ちょっと、ロン!この人は私の大事なお友達なのよ!それに私の婚約者について教えてくれるって…。」
最後まで言うか言わないだったのにロンの反応は早かった。過去に見たことが無いほど暗黒に瞳を染めて射殺すのでは無いかと思うほどレオを睨む。
「余計な事をするな。とっとと消えろ」
普通なら逃げ出しそうな迫力の前でも、レオは臆していないようだ。
「ちょっとからかっただけでしょ?そんなに怖い顔してると小鳥も逃げ出すよ。それにアイネスが悲しむ事をしないでくれるかな?僕の大事な女神なんだから。」
おお!流石プレイボーイ。きっと修羅場なれしてるのね。こんなに恐ろしい悪魔がいても甘い砂糖を吐いてる。心の中でレオに拍手してみる。
「ウザい。消えろ、2度と近づくな。」
「はいはい。今日はおとなしく帰りますよ。じゃあねアイネス。また明日ね。」
ニッコリ微笑んで投げキッスして背を向けて歩き出した。それはロンの怒りを楽しむかの様に見えるんだけど……、というかこの状況で置いて行かないで。
私の祈りむなしくレイはさっさと立ち去ってしまった。
残された私は悪魔に無理やり車に押し込められたせいで顔と足をぶつけてしまった。
なんなのよ!
「余計な仕事ばっかりふやすな。なんで学習しないんだ。アイツとは今後関わるな。アイツはお前が思ってるようなやつじゃない。アイツは…」
「もう!本当になんなのよ!彼は私の大事な友達だし、ロンにあんな風に失礼な態度をとって貰いたくはなかったわ!だいたい貴方に多少の迷惑をおかけしてしまったかもだけど、それでもそんな風な態度をとられる覚えはなくってよ!」
ロンの言いようにイライラする。
「ウルサイ。バカに何言っても通じないとはこのことだな。だいたい、婚約者の事を知ってどうする?黙って結婚すればいいだろう。なぜそんなに拒否する、理解ができない。」
な…んて……
今………なんて?
「…そうね。貴方にとってわずらわしい私がさっさとお嫁に行けば良いだけですものね。だけど、そんなに私がわずらわしいのならもうとっとと辞めてどこにでも行けば良いじゃない。貴方ほどならどこでも行けるわよ。無理して……我慢してワガママなお嬢様の相手なんてしなくてもいいじゃない!………なんなのよ。」
……本当に、なんなのよ。
ロンなんて………大嫌い。
考えるよりも先に私は車を飛び出してかけだした。後で私を呼び止める声を振り払うように。
天気は既に崩れ土砂降りになっていた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
まだまだ不定期更新で続きます。




