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プリン

 ポツーン。


 「…………。」


 先程鍋から火が出て鎮火されてから、キョウナはなぜか出て行ってしまった。

 そして、そのキョウナを追い掛ける為にそこでまっててとだけいって、クレンも出て行ってしまった。


 

 そして、一人取り残されたアイネスだけがキッチンでクレンの言いつけを守りボーッとしていた。


 「うう。」


 私はどうすれば良いのかしら。

 頭の中で作戦会議を開く。


 クレンとキョウナを追い掛けてみる?いや、あの二人の足の速さには追いつけない。なぜならアイネスはトロイから。まぁ、だから今こうして取り残されてる訳だが……。

 クレンとキョウナを探しにいく?どこに?二人がキッチンに戻ってきたら逆に私が居なくて探す羽目になったらもうし訳ない。


 そしたら……やっぱりここで待つしかないかしら……。  

 

 うん、仕方ない!クレンを信じよう!

 クレンならキョウナを捕まえてきてくれる!


 二人が戻ってきたらお茶を飲もう。

 なぜ逃走したかはわからないけれど、キョウナが戻ってきたら迎えてあげなければ。

 そのためにもアイネス一人で軽食やおやつ位なら作ってても問題ないだろう。


 アイネスはすっぱり気持ちを切り替えて何を作ろうか考える。

 目の前には色とりどりの様々な食材がある。この中で簡単にできるのは………。


 プリン?とか?


 玉子に牛乳、砂糖、エッセンス。材料もシンプル!

 これに決めた!

 腕をまくってアイネスは卵に取りかかる。





ーーーー

 「御嬢様?これは?」

 「………プリン予定だったもの。」


 はぁ……。

 頭上でつかれるため息にアイネスは落胆する。

 目の前にはただの甘い汁だけが置かれている。

 

 プリンは意外に難しい。

 分量を間違えば固まらない。

 これどうしよう……。

 

 他のはもっとちゃんと作れるんだよ。クッキーだって上手に出来てたでしょう?


 ウルウルと瞳を潤ませて上を見ればシュンと目が合う。

 はぁ……。

 再びシュンはため息をつく。


 「……全く。そろそろ終わるかと思って迎えに来てみれば……。」


 そう言うとシュンはプリン予定の汁を再び全てボウルに入れてよく混ぜ出す。

 「シュン?」

 


 次々と手際よくシュンはアイネスのプリン予定を調理していく。その手際は驚くほど凄くよい。


 





 




 「ホラ、後はアイネスが飾って。」

 アイネスの目の前にはキチンとプリンが並んでいた。

 「凄い……。」


 滑らかにプリンっと揺れるそれはまさしくアイネスが目指していたプリンで……。

 「………シュンは何でも出来るんだね。」

 ションボリと項垂れるアイネスの頭にシュンはポンポンと手を当てていう。

 「出来ると言うよりアイネスの執事になるために色々必死で勉強したもので。俺が出来るようになったのはアイネスだけのためだし。」

 「え?」

 顔を上げればシュンはアイネスに微笑む。

 「思い出して貰うためにアイネスの傍に居るために執事になったんだから。それに、これだって一生懸命作ったんだろ?アイネスが作ったものは絶対何が何でも無駄にはしたくない。」


 そう言われれば嬉しくてアイネスの鼓動は加速する。

 

 「……ありがとう……。」


 嬉しいけど、恥ずかしくて。シュンの袖をちょんと掴んで上目使いで呟けば一瞬でシュンに包まれる。


 「……それは、反則だアイネス。」


 照れながら袖をつまむとか、可愛すぎるだろう。さすがにここでは抱けないじゃないか……。


 シュンが不埒な事を考えていることも知らずアイネスはシュンの腕の中で幸せに浸っていた。







 アイネスがひとしきり幸せに浸ったころにシュンが問いかける。

 「ところでアイネスはなんで一人だったんだ

?」

 「うーん。キョウナが飛び出てって、クレンが追い掛けていったからかな?」

 アイネスはシュンに出来事を話す。 

 「……。成る程。とりあえず奴が居るならキョウナを必ず送ってくるだろうから置いて帰るか。」

 「ちょっ!キョウナは可愛い子なんだよ!クレンが送って行けなかったらどうするの?襲われたら!?」

 「いや、大丈夫だろう。この間のこともあるし、それにキョウナにはバース家の護衛を忍ばせてあるしな。」

 「そうなの?っていうか、この間って何?キョウナが出て行ったのと関係ある?」

 「一応アレでも隣国の令嬢だから。この国で何かあっても困るだろう?ましてバース家の保護下で身分を預かってるしな。この間はちょっと色々あって。でもやつが率先して動いてたから手出しはしなかったけど……。まぁ、心配ないだろ。帰ろうアイネス。今日は少しやることがある。」

 「やること?」

 「プリン救済のお礼を頂きたく存じますお嬢様。」

 「………。シュン……微笑みが黒いわ。」

 「そうですか?」

 「……まぁ、いいわ。もう少しだけキョウナをまっててもいい?無事だったら帰りましょ

。」

 「……はいはい。」

 

 お嬢様の仰せのままにとシュンは諦めて4人分のお茶の準備をはじめた。

 



ここまでお読みくださりありがとうございます!


ブックマーク本当にありがとうございます!

本当にありがたいです!


ちょいちょいと文の編集してますので、もしかしたら前読んでたところと違う箇所があるかもしれないですがご了承ください。



因みに、プリン失敗の苦肉の策は本当によく混ぜてゼラチン追加で固めます。


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