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意気投合

 しばらく泣けば少しだけ落ち着いてくる。


 彼女はスタイルもよくて美人だった。

 

 鏡を見れば泣きはらした酷い顔に貧相な体。

 

 「貧相だわ。」 

 鏡の中の自分が情けなくて笑ってしまった。


 

 

 ……こんな形で終わりたくはなかった。

 せめてシュンから直接言って欲しかった。あんな風に乱暴にされて捨てられて、新しい婚約者をさっさと作られて……。


 ……、なんかばかばかしい。

 舞い上がって、振り回されて、落とされて…。


 何なのよ。


 …………ちょっと飲もうかな。


 そしたらスッキリするかも知れない。

 

 普段は飲めないので手を出したことはないがきっとお酒はこういう時に役にたつはず。


 そう思うと沈んでいた気持ちは少しだけ浮上してくる。アイネスは泣きはらした顔を洗い、赤くなった目で使用人さんにお酒を持ってくるよう頼んだ。


 今日は飲み明かしてやる!



 


 


 ーーーー

 

 目の前の風景をみてシュンの眉間に皺が寄る。

 レオからアイネスが大変だと連絡があり駆けつけたのだが……。


 ……なんだこれは。


 再び現状をみて更に眉間に皺を寄せる。


 ……なぜこうなった?


 シュンの眼前にはあり得ない組み合わせの酔っ払いが2人仲良く騒いでいた。


 はぁ……。

 


 「シュンのばかぁー。」

 

 有事シャツを羽織り頬を赤くしつつ、ふにゃりと笑ってなすりつくアイネスは子猫のようでとても可愛い。

 

 だけどアイネスがなすりついているのはなぜかここにいるアレ。

 

 「そうよ!シュンのぱーかー。アイネスはこんなにも可愛らしいのに、放置してるなんて信じらんないわ!と言うか、私だってこんなにも美しいのにいつも無視とか蔑んでなんなのよアイツ!」

 「シュンきらーい!。キョウナすきぃー。」

 「きゃーきゃわいー!アイネスすきよー!」


 二人はシュンが来たことに全く気付かず騒いでいる。


 「で、なんでこうなったんだレオ?」

 「……何でって、アイネスがこの人に話が有るって呼び出したんだよ。僕はただ、グラウン家に兄さんに秘密で連れて行けって言われただけ。」


 なぜ?理解出来ない。


 「アイネス、昼間やっぱり家に来てたらしいよ。で、この人に新しい婚約者は私だって言われて兄さんに捨てられたと思ったらしいよ。だからやけ酒飲んでたら一言もの申したくなったらしくって夕方呼び出しがあったんだ。兄さんが居るのはわからなかったらしく彼女一人だけの呼び出しだったんだよ。そしたら僕の名前をアイネスが出してたせいでアレが兄さんには内緒で連れて行けって言い出して、来てみたらなぜかこの人も飲んじゃって、更になぜか2人して意気投合しちゃってこうなったんだ。」



 あきれ顔で肩をすくめてレオがため息をつく。

 「それで、僕の手には負えないから兄さんを呼んだんだよ。」

 「………こうなる前に呼んで欲しかった。」

 

 

 そう言えば夕刻いつもなら一緒に食事をと息巻いてしつこいキョウナはなぜかレオを引きずり、出かけてくると言っていた。居なくなるには大いにけっこうと行く場所もなにも気にしなかったのだが……。

 

 「夕方のアレはレオに気が変わったのかと思ってたらアイネスが絡んでたのか……。」

 「……兄さん。アレが僕に気が変わってたら助けてくれはしないの?」

 レオは冷たい目でシュンを見る。



 「キョウナー!シュンなんてシュンなんて…。私の事愛してるって言ってたのにぃ私の事捨てたのぉー。」


 ポロポロと泣き出すアイネスに対して


 「そうなのね。そうなのね!なんて酷い男なの!大丈夫!私はあんな男いらないわ!私だって好きな人がいたのよ!それなのにその人私には自分が釣り合わないって、私には他の男が似合うって…それで、私、私頭にきてたまたまきたシュンがいい男だったからやけになって……ごめんねアイネスぅー!!」


 これまたピンクボンキュッボンもといキョウナもポロポロと泣き出す。


 俺はそんなことで振り回されて居たのかとシュンが頭を抱えればレオは苦笑いしてシュンの肩を叩く。   


 「うう、そんな事いって逃げる男も最低よ!キョウナは美人だわ!私大好きー!」

 「アイネスー!私もすきよー!!」


 ガシリと抱き合う二人を尻目にシュンとレオはため息をつ。

 しかしこのままでは二人とも酔い潰れて大惨事は免れないため仕方なく止めにはいる。

 「アイネス。」

 「!?」

 

 呼べば今までシュンが居たのに気付かなかったようでアイネスは驚く。

 「出たわねシュン!アイネスがどれ程貴方を愛してるかわかってないのよ!アイネスは、アイネスは貴方のために……っう、グス、グス」

 

 同じくシュンが来ていたことを知ったキョウナは突如シュンに叫びつつ、いきなり泣き出した。

 

 アイネスが俺のためになんだよ。

 泣く前に最後までアイネスがしたことを言え。


 心の中で毒づくとレオに冷たい目差し向けられる。


 「兄さん……。今そこに食いつくの?」

 「……気になるだろ。」

 レオの視線は益々冷たくなる。


 「うう!ちょっとぉ!聞いてるの!?アイネスが貴方のために料理の練習してたのに!なんてけなげな子。それなのに貴方はアイネスが浮気したとおもってぇ!」

 「!」

 アイネスを見ればポロポロと泣いている。

 「アイネス?」

 呼べばこちらを涙を流しながら見つめて

 「だって、だって。シュンに褒めて欲しくてぇ認めてほしくてぇ。今日だって落ちないように木に登って実だってとれたんだよぉ。シュンに食べて欲しかったんだよぉ。」

 うぇぇーんと泣き出せばキョウナにしがみつき、キョウナはアイネスにしがみつく。


 これでは永遠に埒が明かないので力ずくで二人を引き離しキョウナはレオに押しつけ家に帰し、アイネスは直ぐにベッド行きに。


 部屋は酒臭さで酷かったためシュンは久しぶりに執事らしくアイネス達がのみ散らかした部屋をテキパキと片付ける。


 片付けが終わる頃にはアイネスは既にくぅくぅと可愛らしく寝息を立てていた。


ここまでお読みくださりありがとうございます!

ブックマーク嬉しいかぎりです!


ピンクボンキュッボン段々気に入ってしまい遂に名前がでました。

アレから進化しピンクボンキュッボンからの、キョウナさんです。

本当は姉御肌のいい人です。


ゆっくり更新で頑張ります!

評価やコメントお待ちしています。

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