誕生パーティー
ロンとバース家で会ってから数日たち、今日はいよいよ私の誕生パーティーの日だった。あれからずっとロンに会ってない。本当に家を辞めてバース家に再就職したのかもしれないなぁなんてボンヤリ思っていた。
もう、全てがどうでも良い。
どうせ結婚だって取りやめ出来ないんだし、ロンに気持を伝えるまでもなく玉砕したし。
誕生パーティーだって、こんなに色んな人を呼びつけて盛大にやる必要だってない。そもそも、こんなの希望してない。20まで恋したことも彼氏もいない女をお祝いだなんて見せしめ以外に何物でも無い。
いっそ逃げ出してしまえば楽になるのかな。後でお父様や、お母様に怒られれば終わり。ロンには怒られないし。
面倒くさい。
ヤル気ゼロ。なのに回りはそれを許してくれず結局お披露目用のパーティードレスにドレスアップされてしまった。
淡い紫のフワリとレースが揺れるパーティードレス。背中と胸元が大人っぽく少し開き気味なのが若干頼りない感じはするが、茶色の柔らかい髪をサイドで少し垂らして後はアップにまとめあげる。メイクは普段自分がするデタラメではなく今日だけはちゃんとしたメイクさんがわざわざ来てくれてしてくれた。
鏡で見ると普段の自分じゃ無いくらいぐっと大人っぽくみえる。ぽてっと塗られた淡いピンクの唇は艶やかに色めく。
だけど、表情はどこか暗い。
誰に見せる訳じゃ無いのにこんなカッコしてもつまんない。
面倒くさいのに、どうでもいいのに支度がすめばパーティーのはじまり。
溜息をつきながら会場へ向かう。
会場につけば沢山の人におめでとうとは言われ、ありがとうと笑って答えるけどなにも心が高揚する事はなかった。速く終われば良いのにと他人事のように時間が進むのを待ってしまう。
恋はこんなにも景色を変えるのね。
ロンを意識してときめいて居たときは全てが面白かったのに………。今は何を言われても嬉しくないなんて自分勝手だわね。お祝いしてくれる皆に失礼だよね。
分かっては居るけれど………。
「アイ!お誕生日おめでとう。すごく素敵だわ。」
ナナがアイネスを見つけてきてくれた。
「ナナ……。ありがとう。」
「それにしても、レオに聞いたわ。レオったら意地悪ね。でも、判ったのだから首尾良く行きました?ロンのお姿がおみうけ出来ないので……。アイ?なにかありました?」
ナナにバース家での出来事を一通り話すと少しだけ心が軽くなった。
「そうだったんですか。でも、気を落とさないで。男はロンだけじゃないですわ!本当に気が進まないのであれば結婚はしないべきです。だから、お顔をあげてとりあえず今日はあなたのお誕生日をお祝いしましょう。生まれてきてくれてありがとうアイ。」
ナナにそう言われれば少し元気が出てきた。
「わかったわ。ナナ、少しだけ元気が出てきた。あ、お父様に挨拶で呼ばれているからまた後でね。」
ナナの言葉で元気になってきたのに、せっかく上がってきた気持をお父様に叩きおられた。
なぜならお父様の所に行けば誕生パーティーのお礼を皆様に言いなさいと目立つステージの上に上げられた挙げ句、お父様はお礼そこそこにバース家のシュンと私が正式に婚約し、結婚の日取りが決まった事についての発表をしだした。
よりによってこのタイミング?言う必要ある?
お父様が何を話しているのか、頭がついていかない。
お父様が機嫌良く話してるすきにこっそりステージからおりて会場から逃げ出した。
もう、全部投げだしていい。
自暴自棄とはまさにこのこと。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
だんだん文書が乱れて来がちなのが申し訳ないです。ちょっと加筆修正に入ります。




