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病人

 学校から、帰宅すると鞄を置いてからロンの部屋にいく。


 少しは熱が下がってればいいんだけど………。

 ロンの部屋の前につきドアをノックしようとして寝てると悪いかもしれないと思いとどまり、そっと扉を開けた。もし寝てたらまた後で来よう。


 「………ロン?寝てる?」



 扉を空けそっと部屋に入ると床に座り込みベッドにもたれかかっているロンを見つけた。


 「!!!!!ロン!どうしたの?大丈夫?」


 駆け寄って見れば瞼を閉じたままうなだれている。額を触ればまだ熱い。


 「ロン!しっかりして。こんな所に座り込んじゃ駄目よ、ベッドで寝てなきゃ。」

 ロン?と頬に手を当ててみれば、急にその手をつかまれる。驚いて見ればトロンとした目がこちらを見ている。


 「……冷たくて気持ちいい。」

 一言だけ発するとロンは再び瞼をとじている。ただし今度はアイネスの手を掴んで頬に当てたまま。


 「えっ?あ、あのロン?手を……というか、ベッドで寝ないと……。」

 掴まれた手からロンの体温が、若干荒い息づかいまでもが伝わってくる。


 ……辛そう。

 

 やっぱりこんな所に座ってたらいけない。ベッドに移さなきゃ。

 「ロン!ロン!ベッドに戻りましょう。立って。」

 ロン!と声を上げれば再びトロンとした瞳が見つめてくる。

 「ロン!ベッドに戻るわよ!ほら立って。」

 

 掴まれていた手はやっと解放され、ヨロヨロと立ち上がるロンを支えた。………支えられているとアイネスは思っていたのだが、身長差とロンの体格、アイネスの腕力のなさなどが相まって結局二人でベッドに倒れ込む形になってしまった。しかも、ロンがアイネスに覆い被さる形で。


 「ちょっ!ちょっとロン!!ちょっと!あの!あの………。」

 ロンの下で押してみたり、ジタバタしてみるもびくともせず、それどころか既に再び目を閉じている。

 私の心臓の鼓動は速くなり、ロンの体に負けじと熱をおびる。やだ、ロンにばれちゃう。



 「もう!布団かけないと、風邪が治らないわよ。それにロン、貴方……結構重たかったのね。」

 「………。ウルサイ。」

 「!!ロン貴方起きてるならちょっとどいてよ!!それに、ちゃんと布団の中入らないと!」


 私が再び手足をバタバタさせて押してみたりすると、ため息をつきながらロンがモソモソと動きだした。ほんの少しほっとするのと同時にちょっと名残惜しいと感じたのもつかの間、本当にほんの少しだけしかずれてくれなかった。結局私はロンに抱きかかえられている形でやっぱり覆い被さられていた。


 ロンの顔が近い。体が熱く、吐き出される息づかいは荒い。瞳はやはり既に閉じている。


 ーーーーやっぱり辛そう。


 「……風邪、うつしちゃってごめんなさい。」

 モソモソと手をロンの頬に再び当てる。私の手が冷たくて気持ちいいなら少しでも楽になるように。

 「………。別に、こんなの何ともない。」

 「………。ロン、貴方狸寝入りやめなさい。そして布団に入りなさい。私を解放しなさい。」

 

 瞳は閉じてたままロンが答えてきた。狸寝入りも良いとこだ。起きてるならちゃんと布団に入れなきゃ。妙な使命感でロンの頬に当てた手を外し押してみる。


 「やだ。」

 さらにぐっと強く抱き締められる。ロンの胸に顔が埋まるとロンの匂いに包まれて心臓の鼓動は更に高まる。


 心臓、もたない。

 

 「……っ!やだじゃなくて!」

 「ウルサイ。」

 「…っ~~~~~~!」



 このぉ変態!!手も足も使えないなら頭だ!ロンに盛大な頭突きをおみまいした。


 「!!!!!」

 予測してなかったのだろう動きにロンの手は緩んだのでそのすきにベッドから逃げ出した。



 なによ!元気じゃない!

 心配して損した!!バカロン!!

 心臓の動きは最高潮だったのはきっとロンの体が熱かったからだわ。

 そう、熱かったから!冷めれば落ち着ける!

 

 私は足早に自室へと戻った。



ここまでお読みくださりありがとうございます。


ブックマークしてくださっている方本当にありがとうございます。まだゆるゆる不定期更新予定です。




※誤字脱字見直しているため少しずつ加筆修正してます。

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