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 あれからというもの、私は魔力を練るのに夢中になっていた。


「ねぇフィラー、私の魔力の流れはどう?」

「うん、いい感じだ。心配していた”欠線”状態にはならなかったみたいだし、なによりきちんと魔力がサリーの意識下で留め置かれているのがわかるよ。」


『欠線状態』とは、強制的に魔法力を発露させた場合に起こるまれな症状で、体内の魔力が放出され続け、枯渇してしまう状態の事を指す。魔力は精神にも深く作用している為、魔力がなくなってしまうとほぼ廃人のようになってしまう。私も一歩間違えばそうなっていたかもしれない。くわばらくわばら。

 フィラ坂君はそれを心配して、こうして3日に一度の割合で様子を見に来てくれている。ついでに、と彼に甘えて、魔力コントロールの上手な方法についても教えてもらった。


「それにしても、やっぱり私の魔力量は変わらないのねぇ。」

「そうだね、残念だけど。人の魔力量はある程度決まっちゃっているから...。」


 私がなぜここまで夢中になっていたかというと、魔力操作が上達すれば、少ない魔力量でも使用できる魔法回数が増えるからだ。セシリア様に魔法力を発現してもらった私は、魔力が異常に少なく、固有属性である光の魔法もほとんど使用できない。かろうじて使用できるのは自己強化と自己治癒くらいなのだが...魔法使いというよりは、格闘家にしかならなさそうだ、ガーン。だけど、私の性に合ってるっちゃあ合ってる。おっしゃ!


「他には...うーん、噂程度の眉唾な話なんだけど、プロムの実ってあるじゃん?」


 フィラ坂君が眉を寄せて話し始めた。プロムの実といえば、この世界でよく取れる果物だ。こぶし大のライチみたいなやつで、食後のデザートで出てきた時は、すっきりとした甘さでとても美味しかった事を覚えている。


「ええ、プロムの実がどうかしたの?」

「あれをすりつぶして漉して、聖水の中に入れて攪拌したものを飲むと、筋肉が増えるってのは知ってるよね。」


 知りませんよ!?当たり前だよね?みたいな顔してますけど!


「え、ええ。」

「そこまではよく知られた話だからあまり関係なくて、そこから先が重要なんだけど...。」


 ダメです、そこが非常に気になります。


「さらにその液体に回復魔法をかけて飲むと、...魔力が増えるかもしれない、って話を聞いたんだ。」


 え、それだけ?冒頭の話に引っ張られすぎて、余計にあっけなく感じる。


「そんなに簡単に魔力が増やせるのね!でも、そんな方法があるなら皆なぜやらないの?」

「それは単純で、プロムの実は聖水に混ぜたとたんものすごく不味くなる。騎士の人達はそれでも筋肉をつけるために我慢して飲んでいたのを、どうにかできないかって考えられた末に回復魔法へたどり着いた。けれども、一番危なかったのも回復魔法だったってのが噂のオチで。」

「...危ない?どういう事なの?」

「とにかく、異臭が凄くて皆その場に居られなくなったんだ。臭いだけで失神者も出たくらいで。火炎魔法で焼却してその時は騒ぎを収めたようだけど、そこからいろいろ尾ひれがついて魔力が増えるっていう件の噂になったみたい。だから本当は誰も試してはいない話なんだよ。」

「そう...なの。」







 フィラ坂君から怪しい噂を聞いた数日後、私は家の調理場に居た。

 目の前にはプロムの実。


(ふふふっ。フィラ坂君はああ大げさに言っていたけど、虎穴にいらずんば虎子を得ず、よ。何事も試してみなくちゃ。)



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