表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

この世界の家族

「それではお休みなさいませ、サリー様。」

「うん、おやすみなさい、エリつん。」


 ......。

 はぁ~、疲れた。


≪ポフンッ≫


 ふかふかのベッドについ身を投げ出してしまった。だって柔らかいんだもん。ほわほわのふにふにのもふもふのデュフフッ...ってはっ、いけない!?いくら体が10歳のお子様になってしまったからといって、本当に幼児退行してしまっては危ない人だわ。

 そう、私は10歳の少女になっていたのだった。少女A~、って違うか。


 フィラ坂君から発露の儀のことを聞いた後に、私は(サリー)のお兄様とお母様という人達に会った。


『いいピクニック日和だな、サリー。サンドイッチも美味しいし、サリーもかわいいし、お兄ちゃんは幸せだぞ~。』

『うふふ、そこらへんにしておきなさい、スチュワルト。今日はフィラーも来ているのだから、私達家族ばっかり仲良くしていたら彼が寂しくなってしまうわ。サリーがかわいいのは本当だけど。』

『僕のことはお気になさらず。』

『そうだぞ、フラン。フィラーも家族みたいなものだ、気にすることはない。それに、サリーがかわいいのは客観的事実だからしょうがないだろう。』


≪アハハハッ・ウフフフッ・ガハハハッ≫


 みんなヤバイくらいに私を溺愛しているのは一緒だった。

 ここでさらに驚愕したのが、イケメン父は公爵で、国王の次に偉いような立場の人らしい。40歳にいくかいかないかの若さだし、娘への発言がヤバイし、この国大丈夫かよ。しかもフィラ坂君の父親、つまりアルベルト弟は、国の重要人物とされる聖女に婿入りし、侯爵なのだとか。爵位のバーゲンセールとはこの事か。ていうか貴族って暇だよな、真昼間から家族揃って家の庭で(もはや自然公園くらい広いが)ピクニックだなんて。今回はフィラ坂君と私の顔合わせの意味合いが強かったんだろうけど。


 ただ、物心つくころには「お父さん」しかいなかった私には、初めてのお兄ちゃんも、抱きしめてくれるお母さんも嬉しかった。そして、ずっと気になっていたエリザベスさんことエリつんは、いわゆるメイドさんだった。詰襟のシャツを着てはいたものの、メイド服ではなかった為よくわからなかったが、それはエリつんだけで、ほかのわかりやすいメイドさんはこの家にはわんさかいた。どうやらエリつんはメイド長的立場の人らしい。言動は危ないけど。

 そして、「エリつん」と、ついピクニックの最中に呼んでしまったが(フィラ坂君同様心の中でそう呼んでいたのがつい出てしまった)、特に怪しまれる事なく「はい」と返事をされた。ここでわかったのだが、私はどうやらここの世界でも()()()()()らしい。

 あの夜私は死んでしまい、別の世界の少女に生まれ変わったのかと単純に思ったが、どうやら移ったのは脳みそというか主人格で、(サリー)(紗枝)と同じような性格で生きていたようだ。つまり(紗枝)そのもののAIが(サリー)として自動運転していたようなもので(日本的価値観とこの世界での価値観の齟齬はあるようだが)、...ブルッ、恐ろしい。というか同じ私なのにこの顔面偏差値の違いはなんなのだろうか、神よ!不公平だぞ。と、いるとも知れない神に物申したくなった。

 でも、そうなるとあっちでの私ってどうなったんだろう?それに赤坂君はどうしてるのかな...(私を刺した危険人物がいたのだから、無事でいてくれればいいけど)。

 私が死んでいたとして、赤坂君は悲しんでくれたかな?そういえば最後に聞こえた声は赤坂君だったような気がしたけど、なんて言ってたのか思い出せないや。


 布団に入って目を瞑ってはいたものの、なんだか眠れない夜となった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ