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邂逅

 横を刈り上げたこげ茶髪のイケメン外人が父?だとする。

 私の髪を梳く栗色の髪をあげた美人がエリザベスさんで。

 そうすると、梳いてもらっている金髪のサラサラヘアー美少女は私なの!?

 ちょっと待って。一つ整理をしようじゃないかワトソン君。


{私は昨日?(意識がなかったから1ヶ月も前かもしれない)吉澤さんの代わりに深夜まで残業していた。赤坂君とも楽しくおしゃべりしつつ最後のお客様のレジを通そうとしてなぜか倒れた?あの時は動転してたからよくわからなかったけど、ズキズキする結構な痛みだったと思う(お父さんの腕ひしぎには負けるけど)。そして目覚めたらヴェルサイユ宮殿のようなお屋敷にいて、見ず知らずの美男美女に掛け値なしに愛される私。しかも私自身めっちゃ美少女になっている...パツ金だし。}


 冷静になればなるほど荒唐無稽な事実にぶち当たる不思議。摩訶不思議アドベンチャーかここは。

 でも...ワクワクすっぞこの状態。だって今私美少女だよ!アニメとか漫画で夢見たような光景がまさに目の前に広がってるのよ!?夢かもしれないけど、起きるまで十分堪能しちゃってよくね?コレ。

 混乱しすぎた私の脳みそは深く考えるのを放棄し始めている。


「はーい、完成でーす!やっぱりピクニックには三つ編みですよね!んふふ」

「す、すげぇ、コレが技を超える限りないかわいさか...。」


 なんか私だけ深刻に考えているのが馬鹿らしいくらいこの人達は楽しそうだ。

 そうだよね、高校の時数学で赤点ラインぎりぎりだった私が何考えたって無駄だよ。人生楽しまなきゃ損々!

 ともなればやることは一つ。私自身(サリー)この人達(家族?)、この世界の事をもっと知らなくちゃね!...って結局振り出しに戻ったな、あは。


「なぁ、サリー。今日はサリーに紹介したい人がいるんだ。」

「え、えぇと、どなたかしら(ちょっと、まだあなた達ですらよく知らないのに)?」

「≪発露の儀≫の祭司を務めてもらう、フィラー卿さ。おーい、フィラー入って来たまえ!」


 発露の...ぎ?って何?追いつかんぞー私の頭が。

 新たな情報に思考停止している私をよそに、ドアの外から枢機卿のような格好をした男性と、同じようなたたずまいの女性数名がぞろぞろと部屋の中に入って来た。


「お初にお目にかかりますサリー様。私が今回サリー様の発露の儀を執り行わせて頂きます、フィラー・フォン・ファンデイケンです。そして彼女達は式の手伝いを行う私の家の者達でございます。」


 彼が後ろの女性達を優雅な手つきで紹介すると同時に、彼女達は流れるようにお辞儀をした。


「え...。」


 赤坂君!?いや、銀髪だし、穏やかなイケメンだし...でも赤坂君だってかっこいいし!

 誰に言い訳してるのかよくわからないが、私の頭はもうパンク寸前。

 なぜなら目の前に居る彼はどことなく違う雰囲気はまとっているものの、赤坂君そっくりだったからである。


「フィラーは俺の甥っ子でな。弟が養子にしたんだが、若干16歳で教会学校を飛び級で卒業して、史上初の20歳で枢機卿に選ばれたすごい奴なんだぞ!」

「やめてください、アルベルトおじさん」


 あ、枢機卿であってたんだ。ここが同じ意味で使ってるかは分からないけど。

 でもそうなると普通の大学生の赤坂君とはやっぱり違うのかなぁ。

 こんなに似てるのに(それより暫定父の名前はアルベルトだったのか、メモメモ)。


「それより、どうしたんだサリー。なんか口をぱくぱくと...まさか!?」

「まさか、サリー様は覚えてらっしゃったのですか、私のことを?サリー様が赤ん坊の頃にも会ってはいるんですけど、そのあとは私も忙しくしていたもので...。」


 は!都合よくいいように解釈してくれて話が進んでいるけど、私まだ挨拶していなかったわ。とんだ失礼をば。


「もちろんです、猊下。ご挨拶が遅れて申し訳ありません、サリーです。どうぞ様はお取りになってサリーとお呼びくださいませ(これがレジチーフ10年を超えた渾身のスマイルよ)。」

「...。」


 あ、あれ黙ってしまった。

 なんか偉い人みたいだから、こんなちっこい私に様をつけてもらうのも悪くてつい言ってみたんだけど、失礼な物言いだったかしら。クレーマーをも常連にさせた笑顔もみせたのに!?

 私がプライドを削られ思わず眉尻を下げると、


「っ、ありがとうサリー。僕のことも猊下などではなくフィラー、と呼んでくれないか?」


 彼はひどく慌ててそう言ってくれた。やさしいのね彼も。


「わかりましたわ、フィラー。」


 純日本人の私からすると横文字を口に出すのってなんだか恥ずかしいのよね。心の中では彼はフィラ坂君だわ。うん、決定。


「はわわわ、エリザベスどうしよう、サリーがフィラーの事をっ!くそうっ、フィラーもかわいい甥っ子だから俺は奴を恨みたくないのに!」

「うふふ、旦那様は父親プレイを存分に堪能なさってうらやまけしからんですわ!サリー様は恋を知ってそれはまた美しい淑女へと成長なさるのだわ。ここは温かく見守りましょう!」

「だが、しかしっ!」


 またきゃあきゃあ騒ぎ出した大人達を放置し(めんどくさいので)、私はフィラ坂君から発露の儀について説明を受けた。



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