第2話 神代桔梗は謁見する
「始めまして。私はクルラ、魂を浄化し、新たな人生を歩ませるために存在する神です」
俺は塔の最上階まで転移で移動し、天使の開けたドアをくぐり、神の御前まで来た。話しかけてきた神はクルラと名乗り、椅子から降りてきて、軽く会釈をしてこちらまで歩いてくる。
「フォボス、司書で忙しいのに手伝ってくれてありがとう。主人によろしく伝えておいて」
「はい!」
天使さんは眩しい笑顔を浮かべ、退室していった。そしてクルラ様はこちらに向き直り、話をしてきた。
「桔梗さんにはメルギという世界に転生してもらいます。それで、19年も転生を送らせたお詫びとして願いをひとつ叶えて差し上げますので、なにかありますか?」
「──記憶は来世に持ち込めるんですよね?」
「はい。記憶を持ってなかったら願いを叶えても意味がありませんから」
なるほど、剣の才能が欲しいとか、いい家柄に生まれたいとかを言えばいいのか。俺は別に異世界チートを望んでる訳じゃないし、強さにこだわる必要はないな。
──そうだ。ちょうど天界大図書館に未練あったし、来世でもあそこに行けるようにしてもらおう。
「なるほど。天界大図書館へのアクセスが出来ればいいんですね。スキルとして来世の肉体に与えましょう」
「ありがとうございます」
「では、転生してもらいますね。《再誕生の儀》」
クルラ様がそう唱えると体の感覚が少しずつ無くなっていった。そのラインは頭に向かっていき、目が見えなくなっても数秒は頭の感覚があって、ついに体の感覚が全て無くなると、意識も暗くなっていった。