第4話 方針と午後のひととき
これまでに出てきた子の描写が微妙なのに新しい子を登場させました。今回は少しイメージしやすく書いたつもりです。たぶんどこかで今まで出てきた子の紹介のページ書きます。たぶん。
そして、タイトル変わるかもしれないです。
改稿1 アリシアの描写を少し変えました。
ベルンハルトは遅めの朝食をとった後自室に戻って今後どうするか考えていた。刀輝の記憶を懐かしく思いながら、記憶を掘り起こすことに尽力してみる。
幼なじみの紗矢と過ごした時間、武道の練習に明け暮れた時間、学校の授業で習ったことを復習する時間、など様々な記憶が思い出されていった。
(さて、どうしたものかな)
ある程度整理がついて辺りで今まで生き方に興味はなく、なるようになるだろと思っていた考えを改めることにした。前の人生はろくな終をしなかったのだから今回は前の人生みたいな終わり方みたいにはなりたくなく、ほどよい人生を過ごしたいと思ったからだ。しかし、そう思ったのはいいが何から手をつけ始めていいかがわからない。
(学者にでもなれるんじゃないか、ズルだけど)
刀輝は小学校の頃から文武両道を素で行っていたので今までとは比べ物にならないような量の知識が頭の中にあるのだが、その知識があっても元の世界と同じとは限らない、物理法則が全く違ったら習ってきた物理学なんて役に立たないしむしろ余計な知識がある分危険なこともあるかもしれない。
(あの世界の常識は捨てきった方がいいだろうか?)
しかし今までの18年間身に付けてきたものを易々と捨てるのは出来そうにないので、とりあえず保留することにした。多分思い出した頃に最低限の確認だけするのだと思う。多分だが。
ベルンハルトは良くも悪くも無知だったのでこの世界についてのことは最低限の常識程度しか知らなかったのだ、それももしかしたら認識の違いがある可能性もあるからやはりもう1度常識などを見直すことにするべきかなと思ってる。
(好都合なことにまだ、学校があるんだな。卒業までにまだ時間はあるから、それまでにこの世界のこと学びつつあの世界との違いを探していくか。うーん、てか俺成績悪すぎね?)
自分の成績の悪さに愕然としつつも今まで勉強しなかったものを取り戻すために勉強することにした。幸い1年の頃からの教科書等は全て綺麗に揃っていたので溜息をつきつつ机に向かった。
しかし、文明水準の違いのせいなのか教育の方も大して進んでいなかったので1年から5年までの内容をすべて理解するまではそう時間はかからなかった。
(5年も学校で過ごしてこれしか学ばないのか…)
それは、四則演算や言語学習、この国の歴史などしか学んでいることがなかったので。学習することの少なさに唖然としたがその分ほかのことに時間を使えるのでよしとすることにした。
〜ルベルク学園初等部〜
(ベルお兄様は大丈夫かしら)
今日の授業はそんなことばかり考えてたりしたので全く頭に入ってなかった、常に上の空の状態だ。気がついたらもうお昼の時間になっている。そんな状態で昼まで過ごしてたら周りも気になるわけで話をかけてきた。
「ティアさんどうかしましたの?今日は一日中どこか上の空のご様子ですが」
そう声をかけてきたのは学園でセレスティアと一番仲がいいクラスメイトのアリシア=タナーだ。だが、今のセレスティアはそれにすら対応出来ないほど意識をどこかに飛ばしているようだった。起きてはいるが反応してくれない、無視されているような気がしてちょっと腹が立ったアリシアはとある行動にでた。
「反応ないですし、たまにはいじわるして驚かせてもよろしいですよね?」
子供っぽいが整った綺麗な顔に悪い笑顔を浮かべて立ち上がった、小柄な体格で腰あたりまで伸びている薄紫色の髪の毛を揺らしながらセレスティアの所に移動し始めた。
「ティアさん失礼致しますわよ」
セレスティアの後ろに移動してそう一言耳元で囁いておもむろに手をセレスティアの脇に伸ばした。
「へ?」
セレスティアはビックリして変な声が漏れてしまったが急に襲ってきたくすぐったさに見悶えることになった。
「きゃ、や、あふぅ、ん。や、やめな、さ、はぅ」
抵抗して脱出を試みようとするが力が入らなくてくすぐりからは逃げ出すことが出来なかった。
「ああ、ティアさんのいつもはキリッとした顔が今この時私の前だけでこんなにだらしなくなって。ふふふ、可愛いですわ。」
「や、やめなさ、いって、くぅ」
恍惚とした表情を浮かべながらセレスティアのことをくすぐり続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
しばらくして漸く開放されたセレスティアは荒い息をあげ衣服も若干乱れた姿で机に突っ伏して息を整え終わった頃に抗議の声を上げた。
「な、なんてことするんですか!」
「あら、ティアさんがどこかに意識をやってるいたのが悪いのですわよ?」
「くぅ、そ、それは謝りますわよ。でもでも、わ、私もう少しでもう少しで…」
「もう少しでどうしたのですか?」
顔を赤くして俯いたセレスティアにアリシアが追い打ちをかけるようににこやかに問いかけた。
「な!う、うー。なんでもありません!」
「大丈夫ですわよ、私は何があってもティアさんが乙女の尊厳を損なうような事態にはさせないようにしてますから」
「もう既に損なわれかけてるわよ!!」
「ああ、そんな怒った顔のティアさんも可愛いですわ」
「可愛いってシアあなたねぇ、私をからかうのはいい加減にしてくだ・・」
「いえ、ティアさんは可愛いですわ!」
「そ、そう。ありがとう」
やや食い気味に返事をしてきたものだから返答に困りかけたが深く触れると危なさそうなのでとりあえず礼を言うことにした。そして何であんなことをしたか聞くことにする。がその前に所用で席は一回外させもらった。さすがに限界だったのだ。戻ってきてから聞いても遅くはないし、違うことが手遅れになったりしたら大変だ。
「それよりなんであんなことをしたのかしら?」
そして所用から戻ったので話を再開した。
「それは、ティアさんが私が話しかけても反応を示されなかったからですわ。そもそも今日午前中は終始上の空のご様子、何かあったのですか?」
「え、私そんなわかりやすかったですか?」
自分ではうまくごまかしていたつもりだったから驚いて聞いてみてしまったが次の一言である程度察しがついてしまった。
「いえ、たぶん気づいたのは私だけかと」
「なんで、かは聞かないでおきますわね。だいたいわかりましたから」
(今日は気づかなかったけどたまに感じる視線はシアだったのね)
「そうですか?私のことをそこまでわかってくれるなんて嬉しいですわ」
「もう10年近くも過ごしてきてるんだからいやでもわかっちゃうわよ」
彼女の家、タナー家とは幼い頃からのつきあいなので本当にいやでもわかってしまうのだ、なんでこんな性格なったか思い出そうとしたが、長くなりそうなのでまたの機会にすることにした。いまは、ちょっと危ないスイッチがオンになってるからそれをオフにしてあげないといけない。
「それで、なんで終始上の空の状態だったんですか?」
「実はお兄様が」
家どうし長いつきあいでアリシアと兄も仲がいいので兄の現状について説明することにした。アリシアならそんないいふらしたりしないだろうし危ないスイッチをオフにするためでもある。
「ベルお兄さんがそんなことになっていたなんて、なぜそんな大事なことを言ってくれなかったんですか」
「私も気が気ではなかったので・・・ごめんない」
「いえ、そんな謝ってほしかったわけじゃないですよ、できれば共有してほしかっただけで」
「そうだよね、シアはお兄様のことが大好きだもんね」
「へ?」
「ほんとごめんね、配慮が足りてなかったね」
「え、いや、そ、そんなこと」
セレスティアはさっきのお返しと言わんばかりに言葉を続けた。さっきまでは周りに人がいたので取り繕って少し丁寧な言葉で話していたが二人っきりになったのでその言葉遣いも砕けた物にしていった。
「私知ってるよ、お兄様いるときほとんどお兄様のことしか見てないもんね」
「え、そんなわかりやすく見てな・・・あ」
「ほかにも、お兄様の好きな物をお母様から聞いて練習してるんでしょ?」
「な、なんでそのことを」
「あら、最初に教えてもらうときうちに来てたのを見かけたからよ。お母様とこそこそと何かしてるのを見かけましたもの」
「ぐぅ・・・こ、このことはベルお兄さんには内緒にしてよ?」
このあたりで引き下がってもよかったがなんだか顔を赤くして恥ずかしがってる姿が新鮮でもう少しいじめたくなったので続けることにした。
「どうしよっかなー、さっきいじめられたからなー」
「そ、そんなぁ」
けど、想像していたよりも悲壮感のあふれる表情をされたのでさすがにやめてあげることにした。
「冗談だって、そんな泣きそうな顔をしないで。私そこまで非道じゃないから」
「本当?」
「当たり前じゃない、応援してるからがんばってね。料理とか私もできるからわからないことあったら聞いていいから」
「う、うん。ありがとう」
斯くしてセレスティアはなんとかアリシアの危険スイッチをオフにすることに成功したのだった。そして、少しほっとしつつ話を続けた。
「じゃあ、今日は一緒に私の家まで帰りましょうお見舞いしたいでしょ?」
「そうだね、お言葉に甘えようかな」
「じゃあもうここで心配してもどうしようもないから午後の授業はしっかり受けて帰りましょうか」
「しっかり受けないといけないのは午前ほぼ聞いてなかったティアでしょ」
「う、いいのよお兄様に教えてもらうから。あなただって私のこと気にしてたまに聞いてなかったんじゃないの?」
「うう、確かにそうだけど・・でもベルお兄さんに勉強教えてもらえるなら授業なんて。ん?そういえば、ベルお兄さんって勉強得意だっけ?」
「それはもちろん・・・ってあれ?そういえば成績聞いたことないかも」
「でも進級できてるって事は最低限はできてるはずだよね」
「そのはずだけど、聞いたことあるけど毎回はぐらかされてる気がする」
「てことはあんまり得意じゃないのかな?」
「うーん、この話もここで考えてみても仕方ないから帰ってお兄様に聞いてみましょう。今回こそはごまかされないんだから」
こうして、お話をしているうちに昼の終わりの鐘が鳴ったので教室に戻ることにした。
「あ、ティアさん口調丁寧にもどすの忘れてはいけませんよ」
「そうですわね、ありがとうございますシアさん。」
更新遅れて申し訳ございませんでした。次話はもう少し早く更新できるようにがんばります