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遠い日の約束  作者: 金影
1/5

第1話 出逢い

「……い」


声が聞こえる……


「……きろ」


それは女性の声……


「……きろ……うすけ」


だけどいつもとは何かが違う……

と、ここで俺の思考は止まった。


「さっさと起きろ、言原恭介!!」

「はいぃ!!

お、おはようございます、おはようございます!!」

「やっと起きたか……

朝食の用意ができた。一階に行っているから早めに降りてこい。」

「りょーかーい……

……ん?

ここ……どこだ?

そもそもあんたは誰だ?」


そこで俺は今の自分の身の回りの異変を確認する。

まず、ここは自分の部屋ではない。まるでどこかの小屋の中のようにえらく殺風景な景色だ。

また、俺を起こしに来るのはいつもはやたらとやかましい妹のはずだが、今日は冷静な雰囲気を漂わせる女性がいる。


……あー……

ついでに今日の日付も聞いておくべきだったか……


「私の名は……ない。

貴様の好きなように呼べ。

ここは見ての通り、みすぼらしい山小屋だ。念のため伝えておくが、場所は白鳳山はくほうざんの中腹辺りだ。」

「白鳳山か……

それより、名前が無いってどういうことだ?」

「そこは後で話す。

とりあえずは下に降りてこい。それとも貴様、朝食は食わないのか?」

「え……いや、用意してあるなら食いたい…かな。」


実際は相当腹が減っている。今までにないぐらい空腹感を感じているし。


「では、先に下に行っているぞ。」

「りょーかい。

俺もすぐに行くよ。」


そう言って彼女は扉に手を掛けて……最後に一つこう言って出て行った。


「……貴様の怪我はもう完治しているはずだ。崖の下に人間がいるのを見たときは驚いたぞ。」


……え?

崖の下って、何のことだ?

まるで俺が崖から落ちたみたいではないか。

……崖?

もしかして、アレか…?




つーわけで回想シーン、スタート。









――

「2分遅刻だぞ、恭介。」

「危うく暇で死ぬとこだったじゃねぇか。

つーわけで、ペナルティとして俺の分の昼飯代、おごれ。」

「……たった2分の遅刻で昼飯代はないだろ、直人。」


俺の名前は言原恭介。

白鳳はくほう学園に通っている健全なる高校一年生だ。

趣味は読書(主に漫画)にゲーム(ほとんどロープレ)。

好きなことは自由で、嫌いことは暇と面倒事。

将来の夢は特になし。これだけみるとNEET確定の高校生だが、まぁそうはならないくらいに努力はしているつもりだ。

ちなみに彼女はいなかったりする。


………最後のはいらなかったか。反省。


そんな凡人街道まっしぐらな俺は、中学以来の友人大上翼、霧島直人の二人と共に白鳳山のゲレンデに来ている。

俺達がここにいる理由は直人が懸賞でボードなんかであてたりしたので、まぁ直人の試し乗りということで来ている。



ちなみにこの白鳳山ゲレンデは初心者〜上級者まで、皆が気兼なく楽しく滑れるゲレンデ……と、いうわけではなく、中級者〜上級者までという比較的ハイレベルなゲレンデである。

(補足情報として、初心者→初級者→中級者→上級者という風にランクアップしていく。)


まぁそんなハイレベルなゲレンデに、先月の頭までスノボの『ス』の字すら知らなかったやつが挑むというのも、俺としては滑稽な話なので楽しいことではある。


「なぁー、恭介はさ、ボードって難しいと思うか?」

「知らねぇよ。

第一俺はボーダーじゃなくてスキーヤーだぞ。」

「別に難しくはないと思うぞ、直人。

所詮スキーもスノボも雪上と名がつくだけのスポーツであるのだから、難しいはずがないだろう。」

「……それはお前だけだっつーの。

羨ましいぞ、このスポーツの申し子め。」

「それは直人の気のせいだろう、な。」


実際のところ、翼はスポーツに限らず身体能力は常人をかけ離れている記録を出している。

ちなみに俺は先程少しだけ言ったがスキーヤーだ。

スキー限定ならなんとか翼に勝てそうな気もする。

まぁそんなわけで未経験者は実際は二人だが、実質は一人だと言ってもいいくらいだ。


「確かこうでよかったんだよな……

よし!じゃ翼、恭介、行こーぜ。」

「わかった。」

「りょーかい。」


と、まぁ午前中はこんな感じで滑っていたんだ。

特に目立つこともなく、三人で楽しく過ごして俺は楽しかった。







「はーっ、食った食った。恭介、サンキュな。」

「…次はお前がおごれよ。」


俺たちはある程度滑ったから、12時直前くらいに飯をとることにした。(俺は遅刻の罰として結局ポテトをおごるハメになった)

しかしまぁ翼は当然とも言えるが、直人も予想以上にうまくなるのが早い。

明日にはもっと上に行けるんじゃないか?


「なぁなぁ午後からだけどよ、どうせなら山頂に行ってみねぇ?」

「……さすがにそれは死ぬ気かよ、直人。」


前言撤回、こいつ今日で死ぬから明日は燃え尽きてるな。


「盛り上がっているところ悪いが、今日はもう帰らないといけないみたいだ。」


翼が予想外なことを言い出した。

さすがにこの発言には俺だけではなく直人も普通に驚いているようだった。


「なんでだ、翼?

彼女からメールでもきたのか?」

「……恭介、明日罰として俺の昼食代を払え。」

「冗談冗談。

で、マジになんでだ?」

「姉貴が今日中に帰ってくるから部屋の掃除を頼む、だそうだ。」


あ〜……恵さんか〜…

あの人の命令なら仕方がないか。

俺も一度だけあったことがあるけど、一言で言い表すなら『怖い』としか表現のしようがないからな。

ちなみにこれは翼公認だ。


「ま、それなら仕方がないか。

翼だってまだ命は惜しいだろうし。」

「まぁそういうことだ。

だから午後は二人で滑ってくれ。」

「んじゃ、そうさせて……」


そこで直人が止まる。


「やっべーーーー!!」


周りに迷惑だからトーンを下げろ、バカ!!


「そういえば今日親父の仕事で午後は家にいなきゃいけないんだった……」

「あぁ……例のホームパーティーとやらか。

お前も大変だな、直人。」

「そうでもねぇよ。

アレはアレで楽しいし。」


……まぁとにかく二人とも午後は無理な感じか。


「ところで恭介はどうする?」

「まだ回数券が一回分あるし、バスの時間もあるから適当に滑ってから帰るかなぁ……」

「そっかぁ。じゃ、どうせなら山頂に行ってきてくれ。どんな感じか知りたいしさ。」

「別にいーぜ。

少なくとも他人に迷惑をかけない程度の技術はあるから、平気だろ。」


午前中の間に三回程直人と衝突しかけたので軽く嫌味を言ってやる。


「アレは仕方ないだろ。

一応は全部避けたんだしいいじゃねぇか。」

「いや、良くはないぞ……。」

「まーま、気にすんなって。それより遅れると面倒になるから、もうそろそろ俺は帰るぜ。」

「じゃあ俺も帰ることにしよう。」

「そっか。じゃあまたな。」


直人が手をあげながら死ぬなよ〜、と言ってきた。

俺は少しだけ周りを見て死なねぇよ、と返事を返してやった。

……今思えば、この時に一緒に帰っておくべきだったな。







俺が山頂に着いた頃には午前中の天気が嘘のように崩れ始めた。

山の気候は移りやすいってのは聞いていたけど、こんなに極端に変わるものなのかよ?

けどまぁまだ吹雪いているわけじゃねぇし、さっさと滑れば平気か……


扉を開けると軽く……と言うわけではなく、雪が降っていた。

風もなんかそれなりに強い気がする。

それにしても……直人、お前来なくて正解だったな。この傾斜角、35度とか書いてあるけど絶対に違うだろ。

だってこれ60度は確実にいってるし。

(当然ながら主観的に今の状況を伝えただけなのだが……)


だが別に滑れないというわけではないらしい。

現に、7、8人程滑っているのが見える。

一目見て熟練している老人、場違いなぐらいにイチャイチャしているカップル、そして圧倒的に俺より上手だと思われる小学生など色々な人達がいた。


「本当に行くんスか、先輩……?」

「大丈夫だろ。

それに匠海は運動神経とかいいじゃん。」

「いや、でもさすがに山頂は……

それにほら、天気も危ういと思うんスけど。」

「だったらちゃちゃっと行こーぜ。

速く行けば大丈夫だから、な?」



俺の後ろから二人組の男性が降りてきた。

……あの匠海って人、なんか直人に似てるな。

というか、直人と同じ初心者じゃないか?

……うん、多分そうだな。

まぁとりあえずご愁傷様です、匠海さん。


……今思えばこれ、人事じゃないかもしれねぇ。

まぁここで立ち往生しても意味ねぇし、風もさっきより心なしか強い気がするし、俺もさっさと行くか……









今俺は木の上にいるのだが……なんでこうなった?






俺は急な斜面を2つ程降りた場所で休憩をしていた。

ちなみに今いる場所は急斜面→カーブ→急斜面となっている場所の、カーブに位置する場所だ。

休憩している理由はしめて二つある。

一つ目は、まぁただ単純に疲れたからだ。

もう一つは……次の斜面のうち、片側が崖になっているからだ。

『KEEP OUT』って書いてあるロープが張ってあるけど、全く意味がないよな。

匠海さんみたいな人とか、そのまま突っ込んじゃうんじゃねぇのか?

いや、冗談抜きで。


……なんて言ってたらホントに匠海さんが突っ込んできたぞ。


ただ場所は崖ではなく……俺の方に来ている気が…


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「えっええぇぇぇぇ!?」


俺って危機感とか0なのかなぁ……

まぁ一応寸前のところで逃げたが、地面(雪上)に刺しておいたスキー板が見事に吹っ飛ばされた。







「本ッ当にごめん!!」

「いや、気にしないで下さい。」


結局板は吹っ飛んでいった。方向としては崖側だが、幸か不幸か途中にあった木に引っかかっている。


……これってやっぱり木に登らなきゃいけないのか?


「……俺が、とりに行こうか?」


まぁ普通なら頼むところなのだが、妙なプライドがそれをさせなかった。


「いえ、平気ですから。」

「でも……」

「大丈夫です。あれぐらいならたいしたことじゃありませんから。」


こういう相手は強めに言い放つとだいたい黙ってくれるから楽だ。

けどまぁこう言ってしまったから、やっぱり俺が取りに行かないとな……







さて、木の前までには到着したが、どうやって取り戻そうか。

まず単純に思いつくのは、木を登って板を取る方法と、もう一つは木に衝撃を与え板を落とす方法だな。

板を落とした場合、板が斜面を滑る可能性の他に、この木の位置からすると崖下に落ちる可能性もある。

……となるとやっぱり、木を登る他に方法はなくなるわけか。

ちなみに何もしないと、多分風に飛ばされるのではないかと思う。


「……しゃーない。

腹をくくるか……」


俺は一番近いところにある枝に手を伸ばす。

雪が積もっているおかげで簡単に登ることができそうだ。


「そらよ……っと。」







一応スキー板は取り戻した。後は降りるだけなのだが、予想以上の高さなので俺はなかなか行動に移せなかった。


「こりゃ高いな……っとと。」


ちなみにさっきから風がたまに吹き付けるので、チャンスもろくにない。


しかし……こんなことになるんだったら俺も直人達と一緒に帰ればよかった気がしてならない。

なんて思ってたらまた風が……って、なんか凄く強くないか?


「……ッ!!」


この風、さっきまでとは段違いだぞ…!!

ヤバいって、これ!


なんか木がミシミシ言ってるし……!!


バキッ


……俺は木にしがみつくのに必死で最初はなんの音か理解ができなかった。


…あれ?

なんか俺、今中に浮いてないか……?


そして一拍おいた後木が折れたことが分かり、

「…う、うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

木に必死に捕まっていた俺も一緒に崖の下へ落ちていった……







――回想シーン終了。

見事に崖から落ちているな、俺(笑)


……いや、笑い事じゃねぇな。

崖から落ちたって事は世間的に俺は死んでいるのではないだろうか?

今日が何日かにもよるな……


「……まぁそれは後でさっきのあいつに聞けばいいか。」


腹も減ってるし、聞きたいことも多いしそろそろ降りるか。









「……遅かったな。」

「…いや、まだ少々混乱してるから、さ。」

「………まぁいい。

さっさと飯を食え。

時間がたつと不味くなるからな。」


……なんか機嫌が悪そうだけど、とりあえずは用意されている朝食をいただくことにする。


「…い、いただきます。」







「ごちそうさま。」


結局俺達は食事中お互いに口を開かなかった。

俺は用意されている食事をとり、彼女はというと読書をしていた。ちなみに背表紙を見ると……英語で書かれているらしく、全くわからなかった。


「……味は?」

「え?

……あ、あぁ味か。

美味しかったぞ。」


空き腹に不味いものはなしと言うが、確かにそれは事実だった。

いや、多分いつも通りの朝でもいける飯だと……って、なんか照れてないか?


「……………そうか。

それはよかった。」


あ、また元の顔に戻った。……にしてもさっきの顔、結構可愛かった気も

「では食事を終えたようだし、貴様にいくつか聞きたいことがある。」


……いきなり話し始めないでほしかったね。

つーわけでお返しだ。


「あ、その前に俺が質問してもいいか?

さっきも言ったがまだ混乱しているんだ。」

「……別にいいぞ。

今の状況を理解してくれた方がこっちとしても助かるしな。」

「それじゃあ聞くけど、今日は何月何日だ?

あと、俺が着ていたスキーウェアとかは?

それと名前がないってのはどういう意味だ?」


場所はさっき聞いたし他にも聞きたいことはたくさんあるが、まずはこの3つが重要だ。


「今日はおそらく1992年の1月9日だ。

貴様の服などは別室においてある。

私の名前がない理由は……深い意味はない。

気が向いたら話そう。」


……結局名前の件は保留かよ。

いや、それよりも今なんて言った……?


「もう9日なのか!?」


確か、さっきの回想シーンは5日だから……4日も寝てたのかよ!?


「あぁ。

ところでもう質問はないのか、恭介?」

「あぁ……」


これじゃマジで俺は行方不明って扱いになってそうだな……

いや、それよりも宿題だよ!!


「ではいくつか聞きたいのだが……」

「あぁ……」


結局まだ1ページも終わらせてねぇよ!!

確か3学期は14日からだったよな……


「……恭介、貴様私の話を聞いていないだろう?」

「あぁ……」


こいつぁマジにヤベェよ……

その前に俺、家に帰れるのか…?


「はぁ…………

恭介ッ!!話を聞け!!」

「ッ!?」


突然彼女が叫び声をあげた。そこで俺は意識を現実に向ける。


「今の状況を理解することはできたか?」

「い、一応。」

「ではまず最初に聞きたいことがあるのだが………」




――今思えば、この日から俺と彼女の物語が始まりを迎えた……

はじめまして、金影と申します。なにぶん初投稿なので見苦しい点が多々あると思いますが、最後まで読んでいただき誠に光栄です。もし至らない点がありましたら、訂正すべき部分を教えていただけるとありがたく存じます。では皆様、よろしければこれからも先よろしくお願いいたします。(なんかグダグダな感じだなぁ……笑)

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