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8話 話しましょう

どうぞ

葉山の話はお姉さんが持ってきた料理がテーブルの上に置かれた所で一旦終了となった。


「さ、ルーシィ!ご飯の準備出来たから早く手を洗ってきなさい」


「えー!!もっとお話し聞きたかったのに!!」


ルーシィはぷりぷりと怒りながら手洗い場に直行する。ちなみに、葉山はいつも携帯しているおしぼりを取り出し手をふいていた。


「それにしても葉山さんが住んでいた所って凄いですね!私が聞いたことない事がいっぱいでした!!」


肉団子的な料理をテーブルの上に置いたお姉さんは目を輝かせながら葉山に声をかけた。何気にお姉さんも料理しながら葉山の話を聞いていたらしい


「まぁ、そりゃ……….」


ーーー異世界から来たものですから……….と続きは心の中で呟く。当然、日本に住む人なら当たり前の事がだがこの世界の人にとってはビックリ仰天の事らしい。


「とうきょうすかいつりーでしたっけ??私聞いた時、疑いましたもん。そんな大きい建物なんかあるかー!って…….」


日本について色々と話したが、お姉さんにとって1番興味を持ったのは東京スカイツリーらしく建物の形とか結構しつこく聞いてくるので以前旅行で行った時にスマホで撮った写真を見せようとすると


「何ですか?それ」


「あ、これですか?これも日本にしかないスマホって言って写真撮ったり遠いお友達とお話しできる道具ですよ。」


「本当に葉山さんが住んでいた国は凄く技術が発達してるんですね。着ている服とかも初めて見るし……….」


葉山が着ているのは学校に登校する途中だったので当然半袖のカッターシャツに下は黒いズボンというごく一般な姿だった。しかし、これも異世界の人から見ると異形な姿らしい。


「あー、だからたまに人がチラチラと僕の方を見てたのか」


「服屋を営業してる者としては、とても興味深いです。後ほど拝見してもよろしいですか?」


それほど葉山の服が気に入ったのか先程よりも目を輝かせながらグイグイと葉山の方へ顔を近づける。葉山は顔を赤くし


「ぜ、全然良いで……….ぐはぁ!」


お姉さんに許可を出そうとした瞬間に背中から激痛が走る。理由はもう分かっているので呆れ顔で後ろを振り向くと、ニコニコしているルーシィがいた。


「君ねぇ!本当に痛いからやめてくれる!?」


「お姉ちゃん!早くご飯食べよ!」


「え!!無視ですか??」


葉山はルーシィに対してツッコミを入れる。そんな葉山に対して、ルーシィは「キャハハ!」と爆笑している。そんな中、お姉さんは微笑みながら


「じゃあ、ご飯にしましょうか」


と言って3人はテーブルの方まで行き腰を下ろした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お兄ちゃんが食べてるそれなぁに??」


葉山は自分の弁当の残りを食べている時に口の周りに恐らく肉団子的な料理にかかっていたソースで汚しているルーシィがハンバーグを見て質問した。


「ハンバーグっていうんだよ。なんなら食べてみる?」


「うん!じゃあ、私のミールと交換しよ!!」


ルーシィはぱぁぁ、と明るい表情となってミールと呼ばれる肉団子をスプーンで掬い、葉山の方へ向ける。


「??」


「はい、お兄ちゃん!あーん!」


「けけけ、結構です!!」


恐らくルーシィはなんも考えないでやっている事だろうが、流石に高校2年生の男子がロリっ子にあーんをしてもらうのはまずいと思いミールを自分の弁当箱のおかずエリアに入れ、一口大のハンバーグをルーシィのミールが入っていたお皿の上に置く。


ルーシィは即座にハンバーグを口の中に入れる。するとルーシィは目をつぶり、左手をほっぺたに当て、右手でブンブンと上下に振りながら


「美味しいーーーーーー!!なにこれすっごく美味しい!!」


「だろ?じゃあ、僕も」


葉山はミールを箸で掴み、口の中に放り込む。すると、今までに味わったことのない幸福感に包まれる。


「なにこれ??すっごく美味いです!!」


葉山はお姉さんに向かってミールの感想を伝える。するとお姉さんはホッと胸をおろすかのような仕草をする。


「そうですか?なら、良かったです。」


「お姉さんってとても料理が上手なんですね。……….お姉さん??」


お姉さんは葉山のセリフに違和感を感じたのか少しだけ気難しい表情をしている。


「そういえば葉山さんに私の名前教えてないですよね??」


「あー、言われてみれば……….」


今までは普通に"お姉さん"と呼んでいたので違和感を感じなかったが、よくよく考えたら今日会った人間にお姉さんって呼ばれるのは気持ち悪いなと葉山は察する。


「自己紹介が遅れました。私の名前はエインと申します。できればこれからはそう呼んでほしいです。」


お姉さんーーいやエインは少し引きつった笑顔で葉山にお願いした。


「分かりました。今まで、すみませんでした。エインさん」


葉山はお詫びの意味で頭を下げる。するとエインも大丈夫という意味だろうか、葉山程ではないが頭を下げた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ちなみに葉山さんも何か私たちに聞きたい事ってありますか??」


夕食後にエインが淹れてくれたお茶を飲んでいる時にエインが葉山に聞いた。


「あー、じゃあ1つだけ聞いてもいいですか??」


「どうぞ!!」


エインは手を胸に当て、何でも聞いて下さいと言わんばかりの仕草をする。


「殺戮の歌姫って一体何なんですか??」


葉山が質問した瞬間、雰囲気が一瞬で凍りつくのを葉山は感じた。エインは目を丸くし、さっきまでお絵描きしていたルーシィもこちらを見ている。


「葉山さんは憶えていないんですか????あの2年前の出来事を……….」


エインの声が震えているのが分かった。ただし、葉山は本当に何も知らないので知るべくエインにお願いをする。


「お願いします。教えて下さい。」


エインは葉山の何かを感じたのかゆっくりと目を瞑り、何回か深呼吸をする。そしてまたゆっくりと目を開けて葉山に視線を移す。


「分かりました。教えてあげましょう。1人の女性が起こした悲惨で醜い出来事を…………….」

















続きます

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