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5話 殺戮の歌姫

もう、どれ位の時間が経ったのか……


葉山は、路地裏で彼女を発見してからは、ずっと彼女の歌を聴いていた。彼女の歌は何だか落ち着いていて、それでも聴いていて飽きさせない感じがあり、葉山はずっと聴いていたいと思った。


「〜〜〜♪………ふぅー。」


どうやら、歌が終わったらしい。彼女は、歌い終わるとしばらく顔を上に向けて深呼吸を何回か行い振り向いた瞬間……….


「え?」


「あ……」


葉山は彼女の歌に見惚れすぎて逃げる事を忘れてしまい、彼女と目があってしまった……


彼女が歌っている時は後ろ姿で容姿はよく分からなかったが、良く見るととても美人だった。胸に何やらかの勲章が刺繍してあるワンピースを着ており、髪型は桃色でボサボサしたロングである。


「あ、あなたはいつからそこにいたの?」


顔を赤く染まっている彼女は指を葉山に指しながら恐る恐る質問した。


「ついさっきだよ。ここの近くを通ったら何か聞こえてくるから、なんだろうなぁ??と思って行ったら君が気持ち良く歌ってたんだよ」


葉山は本当の事を彼女に伝えると、彼女はさっきよりも顔を赤くしてわなわなと震えている。葉山はやばい!!怒らせたかも!!と思っていたが


「……やだ私ったらそんなに大きな声で歌っていたの??ち、違うの!!最初は鼻唄程度だったんだけど、歌いたい!っていう慾望が勝っちゃって……….。それでも始めは小さい声で歌っていたのよ。でも……….」


「気持ち良くなっちゃって、気づかないうちに大声で熱唱してしまったと……」


「……….」


葉山がそう言うと、彼女はさらに顔を赤くし、俯いてしまった。多分、今の彼女は漫画とかだと湯気がプシューと出る勢い並みの恥ずかしさに襲われているだろう。


「まぁ、でも素敵な歌声だったよ。」


「え?」


彼女は目を丸くし、とても驚いた表情をして葉山を見ている


「何でそんなに驚いているの?いやー、うちの部活にもめちゃくちゃ歌が上手な奴がいるんだけど、君に比べたら全然……….うわ!」


葉山は彼女の歌を絶賛している途中に、殺気を漂わせている彼女に胸ぐらを掴まれた。


「あなた。私を知らないの??」


言っている意味が分からない……。と思った葉山は何とか手を払おうと思ったが彼女の掴む力がとんでもなく強く払うことができなかった。何、この人元ラグビー部かよと思ってしまうぐらい強い。


「質問に答えて!!」


「し、知らない!!」


「はぁ!?嘘つかないで!!知ってるでしょ!!」


「質問の答えを否定するとか理不尽すぎるよ!!本当に知らない!君とは今日初めて出会ったんだよ!!」


「そんなの嘘!あの事件が起きてから私の名は世界中に広まった!!今じゃ情報に欠けている地域ですら私の事を知ってるのに、あなたが知らない訳無いじゃない!!」


「僕は今日、急にこの世界に召喚させられたんだ!!だから、君の事は知らない!!」


胸ぐらを強く掴まれていて苦しい状況の中だが、葉山は必死で弁解する。すると、彼女はパッと手を離した。葉山は四つん這いになりゲホッゲホッと咳払いをしながら冷酷な目をしている彼女を見上げた。


「だったら教えてあげる……。私の名前はアリス・ルーズベルト!!あのルーズベルト家を絶望の地へと招き、この世界に住んでいる全国民に対して恐怖である存在!!またの名を……….」


アリスはそこで言葉を止めてしまった。そして少し躊躇ったが直ぐに気を取り戻し、大きく息を吸って……


「またの名を『殺戮の歌姫』よ!!」







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