4話何かが聞こえる
「あーあ、日本円が使えないって事は実質所持金0円じゃん」
エンはエンでも日本円がこの世界では使えないと分かった葉山はまたさっきまでいたベンチに戻り、腹が減り出したので母親が作ってくれた弁当を食べようとしていた。
「これが、最後の晩餐になるかもな……ハハ」
葉山は、弁当の蓋を開けるといい匂いが鼻にツンとささり、中身を見てみると自分の大好物のおかずが沢山入っていた。
葉山は最初に唐揚げを頬張り、次に白米を口の中に入れる。唐揚げがとてもジューシーでしかも白米とマッチしていてとても美味しい。
「あれ??」
気づくと葉山は涙をポロポロと流していた。
「は?……何で?」
実際、葉山はこの世界に来てどれ位時間が経っているか分からないが、葉山はまだ生まれてたった17年しか経ってない高校生である。
なのに突然にこの世界に召喚されて何をどうすれば良いのか分からないまま放置され続けられてしまい無意識にそれが耐えられなくってしまい涙が出たのであろう……。
「……ご馳走様でした」
涙をながしなら食べていた葉山はこれからの事を考えて3分の1ぐらい中身を残して食事を終わらす。
「ん?」
弁当を、カバンの中に入れようとしたらふと何かが聞こえた。
「??」
葉山は立ち上がって、その聞こえてくる何かを頼りにして歩く。歩いている内に気付いたら路地裏の方までやって来ていた。
そして、その聞こえていた何かもはっきりと分かってきた。
「これは……歌?」
そう、聞こえていたのは誰かが歌っている歌だった。何の歌なのかは当然分からないが、恐らく歌っているのは女性であろう……。
「ここを曲がった所から聞こえる……。」
恐る恐る葉山は角を曲がると……
「………ッ!!」
そこには1人の桃色で長い髪をした1人の女性が凛として立っていて歌っていた。