1話「体育館に行こうとしたら、見知らぬ場所に立っていました。」
ここから、本編スタートです!
どういう事なのだろうか??
僕、葉山 結城は確か、演劇部の夏の公演に向けて劇の稽古をするべく一番乗りで体育館に向かっていたはずだ。
なのに、何でだろう??今、目の前に映る光景が体育館じゃなくて、沢山人がいる市場的な場所なんですけど……。
しかも、よく見たら普通の人もいれば、見るからに人間じゃないのもいるんですけど……。
え?何あれ?トカゲ?顔がトカゲの人がいるんですけど!!コスプレにしては完成度高すぎだろ!あ、あの女の人は猫耳だ!!すげぇ!あとで一緒に写真撮ってもらおう!……そんな場合じゃないな。うん。
「きゃっ!!」
「ん?」
今の自分状況についていけず、混乱していると幼い女の子が僕にぶつかって転んでしまった。
「いてて……」
「大丈夫?ごめんね。怪我とかしてない?」
「はい。腕が少し、擦りむいただけなので大丈夫です。」
「あ、じゃあ鞄の中に絆創膏あるから出してあげるよ。」
「いえ、大丈夫です。お姉ちゃんに治癒魔法かけてもらうので……」
何だと?今なんて言った??
「ごめん、もう1回言ってくれる?」
「え?だからお姉ちゃんに治癒魔法をかけてもらって治してもらうので大丈夫です」
どうやら、この世界には魔法というものが存在するらしい。
「ルーシィ!!」
「あ、お姉ちゃん!!」
恐らくこの子の姉であろう、顔がそっくりで美人な女性が小走りで走りながらやってきた。
「良かった!勝手にどっか行っちゃダメじゃない!凄く探したんだからね。」
「ごめんなさい。」
「あら?ルーシィ、あなた怪我してるじゃない。どうしたの?」
「あのね!私、今流行ってる目を瞑ったまま走るゲームをしてたらね!このお兄ちゃんにぶつかって転んだの!」
なんつー、危険な遊びしてんねん。僕だったから良かったものの、893とかロリコンの変態とかだったら絶対危なかっただろう。
「すみません、お姉さん。葉山 結城と申します。妹さんに怪我をさせてしまってすみませんでした。」
「あ、いえ、とんでもありません!悪いのは妹ですので。」
一応、怪我をさせてしまったので頭を下げで謝罪するとなんなくお姉さんは許してくれた。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん。治癒魔法かけて」
「はいはい」
そう言うと、お姉さんは妹の血が出ている腕に手を当てブツブツ何かを小声で唱え始める。
すると手が小さな光に包まれ、先程まで血が出ていた部分が次第に治っていった。
「終わったわよ。さ、帰りましょ」
「うん!ありがとう!」
「では、私達はこれで失礼します!」
「お兄ちゃん、まったねー!!」
姉さんの方は頭を下げ、妹の方は手をブンブン振り、去っていった。
さぁ、また1人になった事なので何をしようかな??よし!一旦今の状況を整理しよう。えーっと、まず最初からおかしいけど体育館に行こうとしてて、気付いたらこの場所に立っていました。
周りは見た目は自分と変わらない普通の人もいれば、トカゲやイヌやネコの顔をした恐らく獣人族みたいな人がいる。
そして、魔法が使える世界………。
脳をフル回転させ、頭がそこまで良くない自分でも1つの解答が浮かび上がる。
「もしかしてこれ、異世界移転ってやつ?」
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