1話 お父さん
あとがきには、愛の気持ちを書いていこうと思います。
別に"(-""-)"のひとはスルーでどうぞ。
涼やかな朝だ。
白いレースのカーテンが風に揺れると、隙間から優しい陽の光がこぼれ込んでくる。
机の上に並べられた料理に、台所ではまだ鍋の中でコトコトと煮込まれるスープの香りが優しく鼻をなでる。
小鳥のさえずりが、ゆるやかな時間を運んでゆく。
——5月20日(金)
カレンダーのメモ欄には、生活感のある大きな文字で特売日と書かれたチラシが揺れている。
そんな清々しい朝だというのに、ベランダで風を浴びている「岩流 渚」は腕組みをしたまま目を閉じ、考え事をしている。
岩流!という男らしい名前だというのに、顔立ちは渚という名前がよく似合う中性的な顔立ちだ。
ぱっちりと開かれた二重に、すっと通った鼻、女性のように小さな口は微笑むと少し横に広がる。
じっとして黙っていると、ミステリアスがぴったりな印象である。
―――だが彼には問題がある。
よし、と何かをひらめいた渚は、台所に向かうと昨日買って冷やしておいたメロンを二つエプロンの中に忍ばせた。
「冷たっ」
エプロンの胸の部分はまるで女性の胸のように膨らんでいる。
推定Jカップはあるだろうか、いい胸・・・メロンだ。
そして、娘の私を起こしに部屋をノックする。
「愛起きてー朝だよー」
そう、私こと「岩流 愛」は、俗に言うキラキラネームだ。
私が望んだ事ではないのに、まったく嫌になる。
昔はこの名前のことで良くからかわれたものだ。
だが、そんなものを毛ほども感じさせない馬鹿が居るおかげか、今は平気だ…たぶん。
「うん、今起きるよ」
あくび混じりの寝ぼけ声で返事をして、時計に目をやると7:00の表示が点滅している。
今日もぴったりだ。
だが、ベッドから起きて部屋を出るとそこには、胸にメロンを挟みいつ持ち出したのか私のウィッグを被った父親が立っていた。
満面の笑みで。
「さぁ愛、父親の!いや、母親の愛情を受け取って!」
「食べ物であそぶなぁ!!!」
ゴンッ
小鳥たちが、一斉に羽ばたいた音がした。
私もメロン挟もうかな( ;∀;)じ~