宝珠と記憶。 1
「はぁ?
いきなり訳わかんない。
すべきことをせよって?…私たちただ書庫にいただけなのになんなのよ…」
一方的な言葉にヒナは途方にくれ、頭をふりながら答える。
『ヒイナ……あなたはわかるはずです…。』
「はぁ?どうゆう…」
『ひ、い、な……その名の意味は聞いたことがあるはずですね。そしてあなたが生まれながらにして持つあるある力のこと。』
「!!」
『この世界では隠すことは不要です。あなたがそれを望もうとも、望まなくとも。』
その言葉は一瞬にしてヒナの動きを止めた。
胸の中をえぐられたような、血が逆流するかのような感覚。
忘れていた…胸の中に押し込んでいる何かがヒナの中で動き出した。そんな気配を振りきるようにヒナは大きく首を振る。
『ここは…「宝珠」が支配する世界。その宝珠の均衡が壊れ初めている…地も空も人も…』
彼女は今度はこうにも視線を送り話を続けた。
そこまで聞いて、ヒナを気にかけつつも口をはさむ。
「なんだかよくわかんねーけど、それをなんの関係もないオレ達にどうしろって?
悪いけどオレ達は帰らせてもらうからな。」
ヒナの手をとると、逆方向に歩き出そうとしたこうの背中に声が飛ぶ。
『帰る……どのようにして?
もう星はあなた達を見つけてしまったのですよ?扉は開かれ、閉じられてしまった……宝珠は…』
彼女は一度息を深く吸い、念を押すように語り始める。