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二人の龍使い 1

「次はパピルスの丘…?丘なんかにそんな宝珠の伝説があったりするの?」



星の降り注ぐホシフ村で祭りの夜を明かした3人は清々しい川辺の道を次の目的地に向かって歩いていた。

暖かい日差しの中、疎らな木立の広がる森にサワサワと流れる川に足どりも軽くまるでピクニック気分のヒナはジュンを覗きこむ。


「私も宝珠の伝説を探していたからね、割と詳しいのよ。」


「…そういえばジュンも宝珠探してるの?」



少し含みを持たせながら笑いかけたジュンはヒナの言葉に遠くを見ながら呟く。



「うん、ちょっとね…」



「……。」




ジュンから返ってきた言葉と表情にそれ以上は踏み込めない雰囲気を感じ、言葉を詰まらせる。

以前見せた、時の宝珠に力を貸して欲しいと必死に願うジュンの姿はヒナには普通でない違和感を感じた。

ジュンにも何か事情があって旅をしていたのだろう。ヒナはそう思いながらもその理由を聞けずにいた。

まだ聞く時ではない。そう察したヒナは話を反らすようにこうに語りかける。



「でも、良かったよね!ジュンはたくさん旅をしてるからこの世界の地理に詳しいし!」



「……。」


「こう!!」



下を向きながらなにかを考えるように歩いていたこうに呆れながらヒナは声を荒げる。



「もー!昨日から上の空で話聞いてないし、なんなの?」


「うるせーな。いろいろあんだよ。」



こうは天の宝珠の態度や、昨日感じた冷たい殺気について考え事をしていた。

自分の知らないところで、この世界の何かに巻き込まれていく感覚…。

そんな感覚に結論の出ない思いを巡らしていたのだ。



「なによ!それ!」

「なんでもねーよ。」



悪態をつきながらも遅れていた足どりを速めヒナたちに追い付くと急に吹く強い風に目を細める。




「丘に近付いてきたようね。」



歩む道の先を見てみると、木立の切れめから遥か向こうに青々とした原っぱが広がっているのが見える。


「ウキ!!」



それまで静かにヒナの傍らを飛んでいたモンタが声をあげる。


「ん?どしたの?」

「ウキー!!」



モンタはヒナの制止も聞かず、川辺に降りた茂みの奥へと飛んでいってしまった。


「あ!ちょっとあんた本持ってんだからね!」


ヒナは慌ててモンタの向かった川辺にジャンプして降りた。



「マジかよ~。」

「喉でも乾いたんじゃないかしら。」


こうとジュンもヒナの後に続きすぐに川辺に降りる。


「あれ?ヒナ?」


すぐに茂みから出てくるとしばらく待っていた二人は音のしない茂みに呼び掛ける。




「こう、ジュン!なんかすごいのあるわよ!」

ガサッ!!



キラキラ目を輝かせながらモンタを抱えたヒナが出てくると茂みの中から不思議な物体が姿を見せた。



「それ…なんだ?」


「卵!」


確かに見た目は卵のような形をしているが抱えなければ持つことはできないほど大きく、ゴツゴツしている。

白い色はしているが、殻の中央には古代文字のような紋が書かれていた。

暖めるためだろうか茂みの中には様々な動物や鳥の羽根が敷き詰められていた。



「ジュン…あれはなんだ?」

「知らないわよ…。ヒナ、変なもの触らない方が…」



二人が警戒しているとすぐ後ろから低い声が響いた。




「何の用だ。」





「!!!」


低く、少し冷たい印象のある声に驚き振り返る一同はその声の主をまじまじと見つめた。



声の主は背の高い銀色の髪をした男の子だった。

こうより少し年上の歳に見え、落ち着いた雰囲気を漂わせている。

首には2つの銀色のクロスをさげ、服は白いローブを膝辺りで切り取り、その下にゆったりとしたズボンのような物をはいた不思議な格好をしている。


そしてその腕には鷲のような鋭い牙を持った大型の鳥をとまらせていた。



「そこから離れてくれないか。」


ダークグレーの瞳は3人を射ぬくような視線を向けていた。




「……やだ。」



「……なに?」



ヒナの返答に男の表情は一変する。



「ヒナ!何言ってんだよ!」


ヒナはこうの言葉に構わず続ける。



「この子…鍵みたいのかかってる。この卵はあなたの?」



男はヒナの言葉に少し驚いたように目を見開いたがすぐに、冷たい、少し寂しそうな瞳の色をした表情に戻り言葉を続けた。




「……その卵は孵らない。」

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