4つの闇の星を統べる者ー4DS 6
「何?おまえが宝珠使いとでも…」
凛とした振る舞い、臆せぬ瞳、その女に相当な力を感じたセレメスはその女に向きなおる。
この女が宝珠使いか…?
探るようなセレメスの視線にも臆せず、真っ直ぐに自分を見つめる女に異様な空気を感じ杖を構える。
「なる程…名乗り出たこと、後悔するがいい。」
「それはどうかしら。」
女ははすぐに言葉を返し、武器と思われる華麗な扇子を両手に持ち構えをとる。
「ふん…。」
セレメスが杖を手に詠唱を始め陣をとった瞬間、
「今よ !」
女が誰かに向けて強く叫ぶ。
瞬間、セレメスのすぐ横を飛ぶように走る男が見えた。
「!!」
こうだった。
ジュンの言葉を聞き、すぐに天の塔に駆けつけたこうは倒れたヒナをどう助けようかと伺っていたようだ
「サンキュ(誰だか知らねーけど)」
こうは素早くヒナを抱えると塔の中へ転がり入った。
「………誰だか知らんが、気分が悪いな。 さて、おとり…のつもりでは無いのだろう?」
「さて。どうかしらね」
2人は向き合い、緊迫した空気が流れる。
一方どさくさにまぎれ、ジュンも先ほどの女の子を救出することができていた。
「ふぅ~良かった、怖かった! 」
「あの…ありがとうございます 」
「いいのよ。あなたはこの塔の守人の一人ね」
「はい」
「そう。悪いけど塔、勝手に入らせてもらうわね?」
「…。」
女の子は静かに目を閉じ、言葉をつなげる。
「この天の塔が望むのならば…。 あなた達を信じます。 きっと宝珠の加護があることでしょう。 どうかご無事で。」
そう言い、もう一度深く頭を下げるとまた塔の麓の建物に向かっていっ た。