時の呪縛
~体が動かないよ…
意識はある…けどこの感覚はなんなの?
しかもあそこで倒れてるのは…私?~
ヒナは自分が空気となったような感覚を感じていた。
目の前に倒れ込んでいる自分に戻ろうと必死に意識を向けるが、その意志はまとまらない。
まるで何かに捕らわれているかのように動かない。
朦朧とする意識の中、ただただ自分やジュン、宝珠を見下ろしていた。
ジュンが駆け寄ってヒナをゆすり起こそうとしている。
だが、倒れている自分は目を固く瞑り、指先ひとつさえもうごかさなかった。
まるで深い眠りに落ちているように。
〜あれ?…今度はどこ?〜
ヒナの意識はそこで途切れ、またどこか違う場所をただよっていた。
淡い、琥珀色の光。
その光をまどろむように感じていた。
『…時の呪縛…。』
ジュンは宝珠の放つ言葉に驚き、思わず聞き返していた。
「時の……呪縛…?」
『自力で解かぬば永劫目を開けることはない。』
「そんな…!!この子見たところ魔法の力もない子なんですよ?
無理です!」
『ならば…同じこと。永劫呪縛からは逃れられぬだけ。』
「宝珠様!!」
ジュンの必死に自分を助けようとする声を聞きながら、ヒナはぼんやりとした感情に身を委ねていた。
〜私、一生このままってこと…?〜
〜ううん、解ける。〜
〜知ってるから。力…〜
~でも…!〜
『……闇を抱えるか。』
「え…?」
宝珠はジュンの腕に眠るヒナをじっと見下ろし、呟いた。
ヒナの意識はやがてまどろみから眠りにおちていく。
本人も気づかぬままに…