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“お友だち”を上手に使いましょう

「あのっ…綾香様!これから私と寮のカフェに行きませんこと?従兄弟から、紅茶とケーキが美味しいと聞いていますの。」

『お誘いありがとう。でも私、今来たばかりなので、荷物の整理をしなくては。』

「まあ!それならお手伝い致しますわ!終わられたらカフェに参りましょう?」

『本当に?ありがとう』

「っっっっっ!!!!!」




~~~……なんだか見覚えのある状態ですね。

……ヤバいかもしれません。

麗香様の目がとろんと蕩けてきて、ボーッと私を見つめています。

さっきまでしっかり立っていたのに、脚も今にも崩れ落ちそうです。

この状態まできてしまったら、“好きです!”まであと一歩です。

最初から普通の声で話しすぎたかもしれません。

でも、してしまったことは仕方がありません。

少し正気に戻して、私に特別な想いを告白できないようにしておかなくては。



……自分に特別な想いを抱いている人って操りやすくて助かるんですよね。

だから、特別な想いを抱いてくれるのはいいんです。

便利ですしね。

でも、告白されるのは迷惑なんです。

人間の欲望にはきりがありませんから。

“気持ちを聞いて欲しい”という願望だけだったはずなのに、それが叶えば、次は

“そばにいたい”

“そばで声を聞きたい”

“お姉様の一番そばにいたい”

“私だけがお姉様のそばにいたい”

“お姉様の声を独り占めしたい”

“私の想いを受け入れて欲しい”

な~んて、どんどん要求がエスカレートしていくんですよね。

受け入れる気がないこちらとしては、断るので一苦労です。

それに、相手の気持ちを知ってしまったら、その人の気持ちを受け入れられない以上、関係を断ちたいのにへばりついて離れないし、かといって今までのように利用していると、私が“悪女”呼ばわりされちゃいます。

でも、告白さえされなきゃ、“女の子が女の子に恋している”なーんて、気が付かなくても仕方がないですよねえ?

だって、“友情”だと思ってたんですから。






『どうかされました?具合でも悪く?』

「あ……あの……綾香様……私……、『やっぱりなんだか具合が悪そう!気疲れかしら?』

「心配してくださるの!?」

『もちろん!大切な“お友だち”だもの。』

「お友だち……。」

『ええ、お友だち!』

「そうですね……。」





「さあ、何からお手伝いすればよろしいでしょう?」

『本当にいいのかしら?』

「もちろんですわ!“お友だち”ですもの!」


ああ……頭の回転が早い人でよかったです。

ちゃんと正気に戻って、“お友だち”の地位を確立しようとしにこられました。

こういう人は好きです。

だって、“特別”になりたくても、“お友だち”から外れるのが怖くて、行動しなくなってくるんです。

だって、“お友だち”から外れてしまうと、私に新しい“お友だち”が出来てしまいますもんね。

そうなったら、今まではそばで、だあいすきな私の声を聞けていたのに、その特権を新しい“お友だち”にとられてしまうんですからね。

頭の回転が早い人は、リスクを恐れて、“お友だち”に縛られて、私に変なことをしようとしませんからね。

その上、“お友だちだから”と、心配を理由にして、私に“友情以外”の感情を向けてくる人を排除してくれたり、プレゼントをくれたり、私の言うことを何でも聞いてくれたりするんです!






「そう言えば!綾香様は高等部からの入学ですわよね?」

『そうですね。』

「では、いろいろ驚かれるかもしれません。」

『麗香さまは、いつからこの学校に?』

「私は、幼稚舎からなんですの。ですから大抵のことは知っておりますし、持ち上がりの方が多いですが、大抵の方のことは知っておりますので何でも聞いてくださいませね。」

『わあ!それは心強いです!よろしくお願いしますね♪』

「お役にたてたら嬉しいですわ。」




ええ、お役に立ってもらいますとも!

これから、堕として利用する人の選抜をしようと思っていたんです。

麗香さまなら、条件の①②は知っているでしょうから聞きましょう!

そして、自分の目で③を調べに行けば、手間が大幅に省けます。


役に立つ“お友だち”で嬉しい限りです♪



片付けもきちんと手伝ってくださいましたし、いろいろな情報もくださいました。

自分の荷物すら自分で片付けていないお嬢様がすごいですね。

大変便利でした。

“お友だち”っていいですね。


これからも、私の大切な“お友だち”でいてくださいね?

まだまだたくさん利用させてほしいのですから。


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