プロローグ
思い付きで始めたため、更新は不定期になると思います。
もしよければお付き合いください。
私は、至って平凡な女の子である。
見た目は……両親や祖父母、女友達なら、可愛いと誉めてもらえるレベルです。
顔は平々凡々。
少しタレ目で、鼻は少し低めなのが気になりますが、口の形はいいですし、肌はまあまあ綺麗で、パーツ同士のバランスも悪くはないです。総合すると、至って普通の顔立ちですね。
体型は、小柄で、ちょっと痩せぎみです。身長はもう少しほしいですが、まあ、今のままでもよいでしょう。胸の方も痩せぎみなのが、悲しいですが。
頭脳の方も、やや賢いぐらいでしょうか?
国語や英語は得意ですが、数学は壊滅的です。
運動神経は、少し悪いです。
球技ならいいのですが、走るのは……。
といった具合に、至って普通の女の子です。
……嘘です。
至って平凡になりたかった女の子です。
しかし、まだ諦めてはいません!
この高校入学をきっかけに、平凡な女の子は無理だとしても、平和な生活を築いてみせますとも!
そのために、誰も知り合いがいない、この学校に入ったのですから。
誰も知り合いがいないということは、必然的に遠くなり、遠いがゆえに寮に入ることになりました。
そうすると、よっぽどでないと両親が納得してくれず、いわゆる『名門校』しか受験を許してもらえませんでした。
私の学力では、全く足りなかったので、必死になって勉強しました。
ええ、苦手な数学ですら、泣きながら勉強しましたもの!
でも、勉強のかいあって、合格でき、こうして私のことを知る人がいないところに通えて満足です。
……両親は本当は家から通えるところを望んでいたのでしょうが、最終的には応援してくれました。
とてもありがたいです。
ここで、私は平和な3年間を送ります!
『平和なんてつまらない』と仰られる方、是非私とかわっていただきたい!
私だって、『容姿端麗』とか、『頭脳明晰』とか、『運動神経抜群』とかの『特別』ならば、喜んで受け入れていましたよ!
今からでもくださるのなら小躍りして、周りが引くくらい喜びますとも!
でも、私が神様にいただいた『特別』は、『美声』でした。
自分ではよく分からないのですが、私の声は、相当『クル』らしく…………。
ないしょ話をしようとすれば、腰を砕けさせなかった女の子はいません。
掠れた声で呟けば、男の子は、私の足下に膝まずいてきました。
溜め息を吐けば、悶えられる。
体育で息を乱せば、あちらも別の意味で息を乱す。
うとうとしていて、はっと気がついたときには、先生ですら熱い吐息を漏らしている。
意識して話せばまだ『いい声だなあ』レベルなんだそうですが、無意識のうちにでた声は『耳を犯される』レベルなんだそうです。
溜め息や息を乱すのまでどうしろと!!!
そんなこんなで、中学校は、私の声に夢中になった方たちで、ハーレム状態になっていました。
呼び名も、男の子は『女王様』、女の子は『御姉様』でした。
……ドラマや小説の中ならともかく、現実でネタ以外で言われると、相手がどんなに素敵な方でもドン引きしますよ。
更に問題は、男の子でも女の子でも、私に迫ってくることです!
女の子と付き合う趣味はありません!
かわいいけども!
ぜひお友だちでお願いします!!!
それなのに、
『御姉様、私だけの御姉様になって、私だけに囁いてください!』
だの、
『一生御姉様のお側で、御姉様のお声を聴いていたいんです!』
だの、
『御姉様の特別なときのお声が聴きたいんです!私の彼女になってください!』
だの!!!
男の子の告白も、私だって、女の子なんですから、素敵な男の子に『好きです。』と告白されたときは、胸が高鳴りました。
……それなのに……続いた言葉は、人によって違いましたが、
『女王様、貴女に抱かれたい』
だの、
『貴女の下僕になりたいんです。その声で罵ってください!』
だの、
『貴女に囁かれたのなら、僕は何だってできます。何だって差し上げますし、人だって殺せます!』
だの!!!
まともな告白は一つもありませんでした。
どうして私が抱くほう!?
人を罵る趣味はありません!
殺すって、そんな物騒な人はお断りです!
プレゼントには必ず盗聴機。
ストーカーは日常茶飯事。
もう疲れはてたんです。
よって、私は平和な生活を手に入れることに決めたんです!
どっちみち、私の声に惹かれるのなら、自分から向かっていって、私に狂わないようにする!
その人たちを遣って平和を築く!
だから、発言力や影響力の高い人たちを、見極め、私に夢中にさせて、私の思い通りに動くようにして、利用します!
頑張りますとも!