羽田空港第2ターミナル
『東京モノレールをご利用くださいまして、ありがとうございます』
ここは、誰かの旅の出発点、あるいは、旅の終着点かもしれない。
『まもなく、終点、羽田空港第2ターミナル、羽田空港第2ターミナルです』
今は、そうではない。
いや、
人類の終着点、というべきなのか?
モノレールは、羽田空港第2ターミナルに着いた。薄暗いホームに降りて、階段を上がると、そこには知らない羽田空港があった。
これまで羽田空港は、利用客増加や需要に応えるように幾度も拡張を繰り返してきた。これ以上拡げられなくなると上方向に拡張され、やがて、今や羽田空港は自動的に拡がるようになり、第52ターミナルにまで拡張された。しかし、羽田空港が拡張されてしばらくしてから、地下にも拡がっていることが分かった。このときは軽く考えられていたが、地下のほうが人の手が無い分、拡張スピードが速かった。判明したその時にはもう遅く、人類が止めることはできなかった。
最初こそ地下羽田を活用しようとしていたが、調査は難航、行方不明者も出て計画は破綻、誰の手も行き届かない無法地帯となってしまった。
今、羽田空港どこまで地下深く拡がっているのか、知る由もない。
上の方のターミナルはどこからか一定の会員しか入れないらしく、なんと第45ターミナルには、天然の日光が浴びれる展望デッキがあるらしい。20年前のチラシで見たものだから、もう無いかもしれないが。そのくらいの情報しか知らなかった。それも、羽田空港外にはほとんど情報がないからだ。
今年─2931年で羽田空港は開業して1000周年だ。
この家族は旅行かな。
あの人は上京してきたのかな。
あのサラリーマンは出張かな。
たくさんの人々の「旅」が集まる場所、羽田空港。
そこに、かつての活気はない。
ここ、羽田空港第2ターミナルは国内線ターミナルとして賑わっていたらしい。
しかし今はそんな面影もなくただ薄暗い空間で、極稀に鳥取行きや佐賀行きといった需要がないといわれる便ばかりが飛ぶだけだ。
そんな寂れた第2ターミナルを、当てもなく進んでゆく。




