第3話 最弱なのに創造主? 崩れた心に灯る誓い
初めまして、作者のKeyです。
「最弱なのに創造主?堕ちた世界で、もふもふ家族ができまし!」
を手に取っていただきありがとうございます。
初めての作品となりますので、至らない点が多々あるかと思いますが、最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
主様は優しい。
優しすぎるがゆえに、心が責任の重みを受け流すことをしなかった。
この世界のすべての不幸は自分が作ったのだと、そう認識してしまったのだ。
私は知っていた。
主様がまだ誠さんだった頃、彼の問いかけはいつも誰かを思いやる気持ちに満ちていた。
なぜこんなことが起きるのか。
なぜこんな不幸があるのか。
なぜ世界はこんな形になってしまったのか。
政治、宗教、家庭。
あらゆる角度から「人間は幸せになれないのか」と問い続けていた。
そんな折、彼は“こんな世界ならみんな幸せだ”と新たな世界を語り始めた。
私はその姿に心を動かされ、彼と共に幸せな世界を作ることに大きな喜びを感じた。
理想と理念が世界を形作った。
私は知っていた。
理想と理念だけでできた空想の世界が意志を持ち動き始めたとき、そこに残るのは空虚な理想と理念だけだと。
それでも私は主様と共に作り上げたこの世界で共に生きたいと願ってしまった。
――私が主様をこの世界に引き込んでしまったのだ。
―――――――――――――
冷たい……なんだ?
目を開け、薄暗い部屋を見渡した。
寝室のドアの前に、怯えた目でこちらを見つめながら座る少女がいた。
額には冷たい布。
濡れている……?
「君がこれを用意したのかい?」
少女は俺の声に耳と尻尾をピクリと震わせ、小さく頷いた。
その怯えた姿に胸が締め付けられる。
彼女は俺が作った世界の被害者だ。
アーティは“現実”だと言った。
もし俺がここに来なければ、俺の空想世界として幸せで平和な世界だったはずだ、だから彼女はこんな不幸に遭わなかってはずなんだ…
俺は立ち上がり、彼女へと歩み寄る。
少女は怯えた瞳でこちらを見ながら身体を丸め、震える声で言った。
「ちゃ……ちゃんとやったから、打たないで……!」
その怯えた声に、その反応に、涙が溢れ止まらなくなった。
「ごめん、ごめんなさい……俺が……俺のせいで……本当にごめん、ごめんね……」
言葉にならない言葉で、俺は何度も何度も謝罪した。
どれくらいの時間が経ったのかは分からない。
三十秒かもしれないし、三十分かもしれない。
ただ、俺は彼女に謝り続けた。
そのとき――頭に小さな、そして暖かな感触が落ちた。
顔を上げると、そこにはおずおずとしながらも「よしよし、大丈夫だよ」と頭を撫でてくれる少女の姿があった。
押し潰されていた心が、ほんの少しだけ軽くなるのを感じた。
そして、彼女を親元へ届けなければならないと強く決意した。
「君の名前は?」
「私はリーヴ。お兄ちゃんは?」
「俺は、まこ……いや、アーキトスだ。」
「アーキトスお兄ちゃんは怖くないんだね。泣き虫のお兄ちゃんは初めて見たよ。」
月明かりに照らされた銀髪が美しく、彼女はどこか神秘的に見えた。
「そうだね。三十六にもなってこんなに泣いてちゃ、リーヴに笑われても仕方ないね。」
リーヴは驚いたように俺の顔を見つめ、言った。
「お兄ちゃん、エルフさんとの混血なの?
私より少し上だと思ったよ!!」
――今は十五歳だという設定を忘れていた。
「冗談さ。俺は今十五だよ。リーヴは何歳なんだ?」
「私はちょっと前に十三になったよ。十三の生誕の日を祝うために、お父さんとお母さんと一緒にお出かけして……うっ……うぇぇん……お父さんとお母さんが襲われて、私も捕まって……」
リーヴをそっと抱き寄せ、言った。
「大丈夫。俺が必ず両親の元にリーヴを連れていく。もう少しだけ我慢してくれ。」
泣き疲れて眠ってしまったリーヴをベッドに運び、俺はリビングでアーティを起動した。
「俺はこの小屋を出て、リーヴを親元へ連れて行く。」
決意を込めて言うと、アーティは静かに答えた。
「主様、全力でサポートさせていただきます。」
「でも、子どもを連れて無力な俺がどうやってこの森を抜ける?
地道にレベル上げか?」
「いいえ。まず短杖を指輪に変えてください。」
「指輪?」
「はい。リンクリングを生成しリーヴにつけさせることで、主様はリーヴの魔力を共有し扱うことができます。そして、彼女のMP総量は約1800です。」
「えっ…1800?俺の150倍!?」
「はい。彼女は魔力放出量が極端に少ない代わりに、内包魔力が大幅に上がる特異体質です。
身体強化を極めれば、単純戦闘ならこの世界で五本の指に入る強さになるでしょう。」
「まじか……あの可憐な少女がファイタータイプか……でも、リーヴとMP共有しても、杖が指輪になってたら俺は何もできないぞ?」
「そこは問題ありません。
メモリ機能を使用し、開いているページの二枚分の能力を使用できます。
一ページにつき一つの魔法をストックし、最大六つの魔法をストックできます。」
「なるほど…わかった。リーヴが起きるまでに、どの魔法をストックするか魔物の分布を確認しながら決めよう。」
明日は説明とテストを兼ねた食料調達だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆様の感想が、今後の作品の成長に繋がると考えていますので、どんな些細なことでも構いません。一言残して頂けたら幸いです。
今後ともよろしくお願いします。




