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第17話 最弱なのに創造主? 新たな出会いと旅路

初めまして、作者のKeyです。

「最弱なのに創造主?堕ちた世界で、もふもふ家族ができまし!」

を手に取っていただきありがとうございます。

初めての作品となりますので、至らない点が多々あるかと思いますが、最後まで読んで頂けたら嬉しいです。

チュンチュン――。

空は快晴、旅日和。


「お兄ちゃん、そろそろ行かないとまずいんじゃない?」


「そうだね、そろそろ行こうか」


今日から約3ヶ月間、グレイム商会の護衛としてパラスティオンを離れる。

ここに来てまだ5日。まさかこんなに早く長旅に出るとは思っていなかった。


ここに来た理由は、リーヴの親を探す手掛かりを集めるためだったのに、何一つ進んでいない。

グレイム商会は国家間の商いも行う中規模商会だ。

もしかしたら奴隷商との繋がりや、銀髪の獣人種の奴隷の情報を持っているかもしれない。


集合場所の中央広場に到着し、少し待っていると、3台の馬車が目の前に止まった。


「君がアーキトス殿かな?」


この世界は整った顔の人が多いが、ロマンスグレーを体現したような大人の色気と朗らかな笑顔。

“男が憧れる男No.1”の称号を与えたくなるほどだ。


「初めまして。Cランク冒険者アーキトスと、この子は従魔のプラティ、そしてこちらがリーヴと――」


「私はスフィアだ。これから3ヶ月よろしく頼む」


「あぁ、こちらこそよろしく頼む。

こいつは息子のミゲル。あと2人、人夫がいるが後で紹介しよう」


「わかりました。一応、道中のルートはギルドで確認しておりますが、変更はありませんか?」


「無い。今回は急ぎの荷物があるから一直線に向かう予定だ」


商会の護衛は、時々ルートを変えて仕入れをねじ込んでくると聞いていた。

予定外の行動をされると困るので先に確認したが、今回は大丈夫らしい。


「さて、急ぎと言ったように、今回は15日でヘスペリア王国の南の都市ペリシアに到着する予定だ。急ぎ向かおうか」


「15日ですか? 順調に進んで20〜22日の距離です。なるべくグレイスさんの意向に沿うように進みますが、天候のこともありますし、確実に到着できるとはお約束できません」


「ふふ、君は若いのに判断が正確だね。

急いでいるのは事実だが、これはテストみたいなものだ」


「テスト……ですか?」


「あぁ。

“なら急ごう”と状況の整理をしない者、

“そんなの無理だ”と突っぱねる者、

君のように正確に情報を整理し、誠実に対応する者。

若い冒険者はそうした判断ができない者が多い。

私は君の対応を高く評価するよ」


(変に上から目線でもなく、立場やお金で無理を通す感じでも無さそうだな。こちらを試しつつも冷静に人を見るところもいいし、何より人が良さそうだ。

現代知識を活かした商売や商品で商人のパイプを作りたかったから……これは当たりかもしれない)


「ありがとうございます。なるべく早く着けるよう尽力します」


「そうだね。それでは行こうか」


西門を出て北に続く街道を約7日。

大きな川に突き当たり、東へ4日ほど行くと小さな町がある。

そこを越え橋を渡ればヘスペリア王国の国境だ。

さらに北へ5日で関所、そこから5日でペリシアに到着する。


各工程を1日削れば15〜16日で到着できるが、雨が降れば足は遅くなるし、馬に無理をさせても同じだ。


さて、どうするかな。


先頭にスフィア、左手の魔の森側にプラティ、右手にリーヴ。

俺は後方を護りながら進む。


日が真上に来た頃――。


「アーキトス殿、そろそろ休憩を取りたいのだが、ここら辺で休めそうな所はあるかい?」


「はい。ここから少し進んだ所にありますので、そこで休みましょう」


俺は前方へ向かい、プラティに500mほど先の右の草原に休める場所を作り、魔物排除の指示を出す。


「わかった!」


しばらく歩き、周囲に魔物がいないことを確認してグレイムさんに声をかける。


「グレイムさん、あそこに広場があります。あそこで休憩しましょう」


広場に到着し、馬から引き具を外して休ませる。

水と塩、果物を与え、密かに疲労回復ポーションを混ぜた水を飲ませ、回復魔法もかけた。


「アーキトス君、お昼は何を作るんだ?」


スフィアはヨダレが垂れそうな顔で確認してきた。

多分、カレーを食べたいんだろう。


「カレーパンですよ。

リーヴ、パンに切れ目を入れてチーズを仕込んでおいて」


「はーい」


「カレーパン?」


「説明は……めんどくさいからいいや」


「お兄ちゃん、できたよ!!」


「ありがとう。今日はパンを炙って、外はパリッと中はとろーりだぞ!!」


「美味しそう!!」


「この匂いはなんだい? 食欲がそそられるいい匂いだね」


グレイスさんが息子のミゲルを連れて近付いてくる。


「グレイムさん、周辺の魔物はうちのプラティが追い払いましたので、ちょっとした料理を作りました。

今できますので、皆さんいかがですか?」


「これはありがたい。1ついただくよ」


「皆さんもどうぞ」


「あぁ、ありがとう」


「私たちはただの人夫ですので……」


「アーキトスさんの計らいだ。気にせず食べたらいい」


「ありがとうございます」


「いえいえ、良ければ感想も――」


「なんだこれは!!!

これは……色々な香辛料を混ぜたもので野菜と肉を煮込んだものか?

この伸びるのは……どこかで食べた記憶があるが……!」


「ミゲル、大きな声ではしたないぞ」


「はっ! 父さん、ごめん。

でも、これは……これは料理の革命だ!

こんな複雑な味が1つにまとまっている……これを再現できるなら大きな商いになるぞ!!」


「ミゲル!!」


「すみません……」


「ははは、好評でなによりです。

これはミゲルさんの言うように、様々な香辛料をもとに作った調味料を使用した料理です。

そして、その材料と配合は私しか知りません」


「なるほど、君はこれを私に売り込むつもりでここで披露したのかな?」


「私のようないち冒険者が、グレイム商会の会長であるグレイスさんに商売を持ちかけるのは出過ぎた真似でしたか?」


「そ、そんなことはない!!

君の……アーキトス殿の料理は凄い!!

聖都やアストレア王国の王都でも、こんな美味しい食べ物は無かった!!」


「ミゲル、お前は少し口を閉じていなさい」


「すまないね。ミゲルは商人としては少し口が過ぎるところがあってね……アーキトス殿とさほど年は変わらないのに困ったものだ」


ミゲルは下を向き、悔しそうに唇を噛んでいる。

ここはフォローしておかないと、あと3ヶ月嫉妬の目を向けられるのは疲れる。


「そうでしょうか?

ミゲルさんの好奇心や、商品に対する理解を深めようとする姿勢は、新たな商品の開発や発見といった分野で大きな力になると思います」


「ふふふ、君は本当に面白い。

なぜ冒険者を?」


(きた、ここだ!!)


「私の仲間のリーヴ。あそこでプラティと戯れてる少女なんですが、彼女の両親を探すために冒険者になりました」


「ふむ。両親を探すのに冒険者を選ぶ必要があったのかい?

商人でも、国の役人でも、君ならなれただろう?」


「高い評価、痛み入りますが……なるべく早く彼女を両親のもとへ送るには、商人も役人も時間がかかりすぎるというのがありまして……」


「なるほどね。

それで冒険者になり、護衛や指名依頼で商人や貴族とのパイプを作り、そこから捜索の輪を広げるのが君の目的というわけかい?」


(見透かされてるな……)


「そうした気持ちも無くはないですが、パイプを繋ぐという下心のみで関係を作るつもりはありませんよ……」


「そうだね。そこはお互いに利益ある関係を築いていけるのが良い。

そして、君のお眼鏡にかなった私は運がいいのかな?」


「ははは……そんな私は……」


「いいんだ。私も君を試した。君も私を値踏みした。

その上でお互い理に叶う相手だと考えた。

これだけで十分じゃないかな?」


「……そうですね」


「うん。それで、さっきのカレーパンだったかな。

あれのレシピと交換に、君は私に何を望むんだい?」


(話が早いな……もしかしてリーヴの事を知ってる可能性もあるのか?

この人が奴隷売買に関わっていた場合はどうする?

いや、たまたま依頼を受けた護衛相手が……って事はまずないだろ……

それにここまで来て違う話にそらすのも難しいな)


「はい。

彼女の親は奴隷にされている可能性が高く、ローラシオンから奴隷を仕入れている組織や、奴隷市の情報、銀髪の猫獣人を奴隷にしている人がいるかの情報が欲しいです」


「それだけかい?」


「はい」


「今君の挙げた内容は、そこいらの情報屋に金貨10枚も渡せば手に入る情報だ。

しかし、君の出したレシピは安く見積もっても金貨500枚……1000枚でも売れるかな」


「えっ?」


「このカレーは、香辛料やハーブの配合率、配合されている物、料理としての汎用性、これら含めレシピとしての完成度が高い。

調理後は配合率と材料の特定が難しく、再現性が低い。

それにパンだけでなく単体、麺、他にも応用の効く料理だね。

相手に簡単に再現されず、色々な種類の料理で飽きられにくいから、長く市場を独占できるだろう」


「なるほど……そういう視点で見なければ、本来の価値を見落とすのですね。勉強になりました」


(地球ではありふれた料理だったから、そこに価値を見出してなかったな……)


「そうだね。だから私からの提案なんだが――

情報の提供と捜索、できる範囲の手助けを約束することと、君の今後の活動を支援しよう」


「支援……ですか?」


「あぁ。これでもそれなりに長く商売をやってるので、各国に顔は効くんだよ。

入出国や現地での有力者への取次ぎなど、手伝えると思うよ」


「それはありがたいです!お願いします」


「それじゃ、契約成立だ!」


こうして、この世界での人脈を得てアーキトスの旅は順調そうに見えた。

だが――

今後、彼がこの世界の大きな闇に巻き込まれていくことになることを、まだ誰も知らない。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


皆様の感想が、今後の作品の成長に繋がると考えていますので、どんな些細なことでも構いません。一言残して頂けたら幸いです。


今後ともよろしくお願いします。

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