第16話 最弱なのに創造主?ポンコツ護衛は王女様?
初めまして、作者のKeyです。
「最弱なのに創造主?堕ちた世界で、もふもふ家族ができまし!」
を手に取っていただきありがとうございます。
初めての作品となりますので、至らない点が多々あるかと思いますが、最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
「スフィアさん、これ本当に必要な物を買ってきたんですか?」
「いいかい、アーキトス君。買い出しに行く前にも言ったが、外の世界は何があるか分からないのだから、備えはいくらあっても困らないんだよ?」
はぁ……。外套以外は、ある程度持ってる物と魔法で補えるから必要ないって結論だったのに……。スフィアが張り切って“私が買い出しに行ってこよう!”って言うから任せたら、買ってきたのは……
「いいですか? よく聞いてくださいね。
この煙玉、効果範囲が狭い代わりに“いい匂いがする”……。
このポーションは腐ってて、お腹を壊す可能性あり……。
このよく分からない枝は何の効果もないし、この“魔法付与テント”なんて、何一つ付与がかかってないペラペラの布と棒が一本ついてるだけのゴミじゃないですか……。
他にも色々ありますけど……俺には何の目的で買ってるのか分からない物ばかりなんですよね……」
「そ、そんなはずはない!
この煙玉は混乱を付与してくれる一品で、このポーションは迷宮で発見された最上級ポーションだ!
この棒は“迷わずの杖”で、これを立てて倒れた方向へ向かえば必ず目的地へ着く。
このテントは設置すると、中がこの部屋程度の広さに拡張される迷宮産テントだぞ!! 他のも――」
「わかりました! ピシャッ。
では問いますが、スフィアさんはこれらをいくらで買ってきたんですか?」
「ふふふ、これだけの物をまとめて金貨5枚と銀貨10枚だ!!
金貨6枚のところを、私の値切りでここまで下げさせたんだぞ!!」
(自信満々に言ってるが……こんなタダ同然のゴミにそんなにお金を払ったのか……)
「俺の鑑定が信じられなくて、その怪しい露天商の言葉を鵜呑みにするのなら……もしこれらが効果が無かったら、その金額すべてスフィアさんの取り分から差し引きますけど、いいですか?」
「あぁ、もちろんだとも。
そもそも君は支援職であって鑑定士でも商人でもないのに、何故そんなに自分の鑑定に自信があるのか私は不思議だよ?」
(そっくりそのまま言い返したいとこだが……)
「それでいいなら文句はありません。
でも、俺たちはそれ持たないから、全部スフィアが持ち歩いてくださいね」
「む!! プラティの影収納に入れてくれてもいいじゃないか!!」
「影収納の容量は無限じゃないので、そんなの入れる余裕はないです」
「な……くっ!!
よし、それならこうしようではないか。
ミリアに鑑定を依頼して、もしこれらが有用な物だったらプラティの影収納に入れてもらい、アーキトス君は私に謝罪をして、今回の依頼の全指揮権を私に譲渡する。どうだい?」
「ははっ、いいですよ。
でも一つ追加。もしそれがゴミだったら、今後一切文句や我儘を言わず、俺の指示に従う。これを守れない場合はパーティーを抜ける。
これも入れてもらいたいですね」
「ほほぅ、そこまで私を除け者にしたいわけだね。
しかし私はリーヴちゃんの守護を誓った身、離れるわけにはいかないからね。絶対服従を受け入れようじゃないか!!」
(スフィアは俺たちの監視が仕事で、“リーヴの守護”なんて勝手に言ってるだけだろ……。まぁ今後やりやすくなるからいいか)
「だが私はリーヴちゃんに操を立てている!!
もし私が負けても、そうした指示には従えない事だけはここで宣言させてもらうぞ!!」
「お……お兄ちゃん!!!」
「いやいやいや!!
リーヴ、これはスフィアさんが勘違いしてるだけだ。このポンコツ具合を見てれば分かるだろ?」
「なぁーー!! ポンコツだと!!
貴様ァ私を愚弄するのも――」
「スフィア!!!
もういいから早くミリアさんのとこ行こ!!」
「くっ……そうだね、リーヴの言う通りだ」
「はいはい、そんじゃギルド行きますよ」
ギルドへ向かう道中、二人は目を合わせる度に火花を散らしていた。
―――ギルドの鑑定室にてミリアは真剣な目で数々のアイテムを鑑定している。
「ゴミですね。全部で銅貨10枚ってところでしょうか」
「う……嘘だよなミリア? こ、これは? これは迷宮産の凄いポーションだぞ?」
「それ、もう腐ってる廃棄ポーションです」
「これは? この迷わずの杖は私も試したんだ。
しっかりと宿の方向へ倒れたぞ?」
「それは樫の木の枝で、森に入れば1分で拾えますね。
まぁ焚き火の燃料にはなります」
「そんな………しかし、あの露天商は迷宮から直接ここに持ち込んだと言っていたんだ。
そんな商品が偽物なわけがないだろ?」
「何言ってるんですか?
パンゲイル大陸にある4つの迷宮はアストレア王国に1つ、タルタロス帝国に3つで、ここら辺にはありませんし、迷宮産の魔道具なんて勝手に持ち出せば、どちらの国でも重罪で最悪死刑です。
こんな所にいる露天商が売ってるわけないじゃないですか」
「そ……そんな……。
それでは私はアーキトス君の奴隷になってしまったということか……」
「奴隷??」
「あぁ。彼は私に絶対服従を求め、私はそれを受け入れる事を今回の件に賭けていたんだ」
「なぁ……なんて事をしているのよ!!」
「ストーーップ!!!
待って待って、端的すぎる! 間違ってはいないが、印象操作の悪意を感じる!!」
「スフィアに服従を迫った事に間違いは無いということですか?」
「違う!! いや、間違ってはいないけど断じて違います!!」
俺は一から今回の流れを説明し、なんとか理解して貰えた。
「スフィア! 自ら絶対服従を賭けの対象に入れるなんて馬鹿げてます。
もしこれがアーキトスさんじゃなければ、貴方は確実に奴隷に落とされて……うっ、うっ……」
「すまない、ミリア……こんなつもりは無かったんだ」
「貴方は……私の大事な家族なんです……。
こんな事はもうやめてよ……」
えっ…家族? ミリアさんとスフィアが姉妹ってことか?
「ミリア、それは内緒だ。私たちの出自が表に出るのは不味いぞ……」
「なら、こんな軽率なことしないでよ!!」
「そ……そうだな、すまなかった」
(なんだこれ? 全然状況が飲み込めないぞ……)
「ふぅ……アーキトスさん」
「は……はい」
(やばい、絶対面倒くさい事に巻き込まれるやつだ……)
「ここまで話を聞かれた以上、中途半端な情報でアーキトスさん達が探りを入れて、変に話が広まるのもよろしくありません」
「いやいや、一切興味ないですし、探りとか絶対入れないですから安心してください」
「………私とスフィアは亡国の王女です」
(語り始めたよ……しかも王女とか、かなりヘビーな設定盛ってきたな……)
「私とスフィアは10年前に滅亡したミケーネ王国の第1王女と第3王女です。
英雄により建国されたミケーネは、タルタロス帝国の謀略と内乱により滅亡しました。
ミリアが7歳、私が12歳の時、父上が懇意にしていたA級冒険者のアイアス様――ギルマスですね。
彼に私たち姉妹を預けたことで、こうして生きながらえているのです」
(いやいや、ギルマスの名前アイアスって言うの? 全然名前と風貌が合致しないし、ここで知ることじゃないだろ……)
スフィアはこちらを睨みつけるような目線を送り、言った。
「知られてしまったからにはもう仕方ない。
君たちの事はこれから私が監視することにする。
もし私たちの出自がバレれば、帝国が黙ってはいないだろうからな。
ミケーネが帝国に狙われた理由は、アトレウスの宝庫にあるとされる建国の魔石だ。
どのような物なのかよく知らないが、その宝物庫には強力な結界が貼られていて、その結界を解く鍵は私と姉様の瞳だ。
生きていると知られれば、必ずこれを狙って刺客が来る」
(はぁ……この姉妹勝手に語り始めて、言わなくていい事まで全部言っちゃってるよ。宝庫も鍵も言わなきゃいいのに、わざわざ自分から開示してくるし……。
元々俺たちの監視役を命じられてただろうに、“これから監視する”とか宣言するあたり、ポンコツここに極まれりだな……)
「とりあえず、ミリアさんとスフィアさんの関係や事情は理解しました。
俺たちはわざわざ誰かにこの事を話すこともしないし、喋り方など対応も変えず、今まで通りを貫きます。
これで問題ないですね?」
「あぁ、それで問題ない」
「ありがとうございます。
しかしこのお話をしてしまった以上、ギルマスには事情を説明しますので、護衛依頼から帰還後、またお時間を頂きたく思います」
「そうですか……。
わかりました。明日からの護衛任務をしっかりとこなして帰ってきますね」
「はい、お待ちしています」
いつもの笑顔に戻ったミリアに送り出され、ギルドを後にする。
「アーキトス君、私たちは秘密を共有した仲間、もう一心同体だ。これからもよろしくたのむぞ!」
(全部自分で勝手に話したくせに、この人何言ってんだよ……明日からもスフィアのせいで大変そうだな……)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆様の感想が、今後の作品の成長に繋がると考えていますので、どんな些細なことでも構いません。一言残して頂けたら幸いです。
今後ともよろしくお願いします。




