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転生 ~ 異世界の少女

少女は知っていた。自分は病弱で、ベッドから起き上がることすら稀なのだと。窓の外の光景はいつもぼんやりと霞み、身体は鉛のように重いですからね。医師も家族も、誰もが諦めいたんですから。


なんなら、ベットの脇で遺産相続のそうだんまでしていました。

勝手にしてくださいって感じです、せいぜい両親の残した財産を食い潰してください。


そうして、ある日私は、深い眠りにつきました。

だけど、意識の中で大きな光が生まれました、そして次に目覚めた時、全てが変わっていたのです。 


瞼を開くと、まばゆい光が目に目を覚ましました。痛むはずの体は、どこもかしこも軽やかで、柔らかな草の感触が頬をくすぐります。寝台の軋む音の代わりに、聞いたこともない鳥のさえずりが耳に心地よく響いています。そして何よりも、頭上に輝く二つの月に、私は息をのんだ。真珠のように白い月と、血のように赤い月。それは、決して元の世界では見ることのない光景ですね。


「見たことのない空ですね?」

しまった、ラノベでよくあるセリフを言ってしまった。

絶対に言わないと誓っていたのに。


私はゆっくりと体を起こしました。病弱だったはずの腕には、確かな力が宿っています。

ゾンビのようだった栄養の足りない細腕ではありません。


震える足で大地を踏みしめると、清らかな風が頬を撫で、肺いっぱいに澄んだ空気が満たされたのです。風の匂い、花の香り、土の温もり。全てが鮮明で、現実でした。


少女は自分の身体を見つめ、そっと触れた。

「体が小さい」

いえ、大丈夫です、きっと成長します。


髪の毛は銀髪みたいです。

銀髪美少女、異世界です。萌えますね。


誰ですか?美少女かどうかわからないとか言っている人は!

転生したら、女の子は美少女、男の子はイケメンと決まっているんです!

異議は受け付けません。


なにより病気が治っている。

それどころか身体中に活力が満ちている。

嬉しい限りじゃないですか。


「あれ?なんでしょう?これ」

左の手に石みたいなものを握っています。

小さく、六角形でキラキラと虹色に輝いています。

何かのアイテムかもしれません。持っておくことにします。


「私の名前は、リリア」

自然と言葉がでました。

そう呟いた時、何かがわたしの身体に流れ込んできました。


自然とその中に満ちる精霊の力流れ込んで来ました。

なんでしょう?来てますって感じがします。

これは、力です、その力が私の身体を癒し、生命力を呼び覚ましてくれたんだとわかります。

ありがとう、精霊さん。


しばらくすると、わたしはライゼリア王国の騎士団に発見されました。

「お迎えにあがりました、聖女様」


一際、豪華な意匠を纏った鎧の騎士が冑を、脱ぎながら挨拶をしてきました。

この人達、何か勘違いをしているんじゃないでしょうか?

大体、この場所に私が居るのが、どうしてわかったのでしょう?


「神託がありました。」

「我々はある教会の命により貴方様を探しておりました。見つけたら、保護する様にと言いつかっております。」


異邦人の少女、しかもたった一人で森の中にいる彼女に、騎士たちは保護を申し出たのです。

騎士さん達は、自分たちは教会所属の聖騎士であると名乗った。


不安はありましたが、この状況で私に選択肢がないことはわかります。

しょうがないので彼らと共に王都へと向かうことになりました。

「ここはなんとう言う所なのですか?」

「ライゼリア王国です」


道中、この世界の美しさに心を奪われました。どこまでも広がる草原には色とりどりの花が咲き乱れ、そびえ立つ木々は見たこともないほど巨大です。

「綺麗な所ですね」

「気にいっていただけたようですね」


騎士たちが当たり前のように使う生活魔法にも目を輝かせた。枯れた木を癒したり、冷たい水を作り出したりする光景は、まさに奇跡です。

「それは、魔法ですか?」

「ええ、誰もが使える生活魔法ですよ、リリア様もすぐに使えるようになりますよ」


「水よ」

試しにと手をかざして、水が出ろと念じてみると・・・


ポチョンと一粒の雫が指先から落ちます。

練習が必要ですね。

「最初から出せるなんて、さすがですね。」


女聖騎士のアリアさんが、この世界の基本的なことを教えてくれたました。ライゼリア王国のこと、夜空に輝く月の女神カグヤと、昼を司る太陽神ソラリスの信仰、そして魔物や魔獣の存在。私は必死にそれらを吸収した。病弱だった頃には感じられなかった、未来への希望が、その小さな胸に満ちていく感じがします。


わたし達は、市場町エルムに到着した。

「リリア様、今日はここに泊まり、旅装を整えましょう。その他、リリア様には色々お入り用な物もここで揃えましょう。」


わたしは改めて、自分の姿をみた。

そういえば、下着のうえに簡易なワンピースのような服だけを着ているだけ、今更ながら恥ずかしくなった。

「彼女が同行しますので、なんでも言いつけてください。」

見ると、他とは違うちょっと軽そうな鎧をつけた騎士が、片膝をついてこうべを垂れていた。


「同行するように申しつけられました。カガリと申します。」

目の前には、和服姿に袴、サムライテールの女の人がおりました。

「あの、アリアさんは?」

「拙者の方が街歩きに慣れておりますので」


拙者って言った、サムライガール降臨しちゃったよ。

いいよいいよ

「聖女様?」

「んん!とりあえず聖女様はやめてもらっていいかな、できたらリリアって呼んでください」

「かしこまりました、リリア様」


う〜ん、様もいらないんだけど、なんかこれは譲ってもらえない感じかな?


アリアさんと、カガリさんは私の専属護衛ってことらしいです。


いきなり異世界に来てしまった不安はあったけど、なんとなくなりそうでよかった。新たな運命が、今、始まろうとしていた。

続く、みたいな感じだね。

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