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黒い翼の異邦者

漆黒の翼を持つ俺は、いつもの様に餌を探してとある居酒屋のゴミ漁りをしていたが、そこに妙な石を見つけた。突っついているといきなり光を発した。気がついた時俺は見覚えの無い場所にいた。

「ひゃっほーーー、俺は自由だあああああ!」

漆黒の翼を大きく広げ、俺はどこまでも広がる青い空を喜びいっぱいに舞う。風を切り裂き、急降下したり高く舞い上がったり。その瞳には広大な空の全てが輝いて映し出され、解放された喜びが全身から溢れ出ていた。


俺を解き放った、キラキラした派手な棒を持った、おっさんが言って居たから間違いない。

それに、昼間なのにでっかい月が二つも見えてるしな。


月とかわかるのかって?

バカにするなよ、カラスってのは、ツクヨミって神さんの眷属なんだぜ。

月くらいわかるってなもんよ。


おう、自己紹介が遅れたな。


俺の名はクロウ、しがないカラスをやっている。漆黒の翼は俺の自慢だ。

体躯は普通のカラスより大きめで、その辺の揚げどろぼうにも負けねぇ体格だ。


俺ははいつも通り都市の片隅にあるゴミ山での餌を漁って居たんだが、たまたま入ったゴミ箱の中に、きらめく何かを見つけたよ、俺の嘴がとらえたのは、奇妙な形をした、人の手のひらほどの大きさのきらめく石だった。それは、これまで見たどんなガラス片とも違う、形容しがたい輝きを放っていた。


俺も含めて、カラスってのははキラキラしたものが好きだ。


好奇心に駆られて石を咥え上げた瞬間、石はまばゆい光を放ち始めた。あまりの眩しさに目を閉じ、次の瞬間、俺の体は近くの人間と一緒に光に飲まれていった。


キラキラ光るトンネルのようなところを流されて行くうちに俺は意識を失った。


どれほどの時間が経ったのだろう。意識が浮上し、恐る恐る目を開けると、そこは見慣れない場所だった。


気がついた時、俺は石を積み上げた丸い壁に囲まれた部屋の中にいた。

真ん中辺に見たことない、文字や記号が書かれている部屋だ。


端っこの方に少し高いところ、そうだな、学校ていう所にある教壇とかいう場所に似ているな。

カラスのくせに教壇や学校がわかるのかって?


俺は、こう見えて学があるカラスだからな、・・・・というのは嘘だ。

実を言うと俺はかつて人間だったことがあるらしい。

らしいと言うのは、名前もどう言う人間だったかも思い出せないからだ。

ただ、知識だけが思い出しただけ、それはごく最近、突然思い出しただけだしな。


で、今回の召喚だ。

教壇みたいな所にいるおっさんが、

「よくぞ、召喚に答えてくれた、勇者候補達よ」

なんてことを言ってたから、頭脳明晰な俺は1発で察しがついたさ。

これは、勇者召喚なんだってな。


・・・・


言いたいことはわかるから、ここはそっとしておいてもらっていいかな。


「……ここは、どこだ?」


声を出して、俺は驚愕した。


おっさんが、俺をじっと見た。

「そんなに見るなよ、穴が空いたらどうする」

どっかのニヒルなおっさんが言いそうなセリフを言ってみた。


「なぜ、告死鳥がいる!しかも、言葉を発するなぞ!」

俺は人の死がわかるような能力はないぞ、そりゃどっちかと言うと鷹とか鷲の役目だ。

あいつら、鳥葬とかに駆り出されるからな。


「不吉じゃ、即刻この場から追い出すのじゃ!殺してはならんぞ、呪いが残るかもしれん!」


と言うわけで、俺は周りにいた、銀色の西洋風の鎧を着た連中にその場から追い出されたってわけだ。


んで、どこに行く当てもなく異世界の空を堪能していたってわけだ。


飛んでみて、気がついたが、ここには俺の大きさの鳥がほとんど見えない。

・・・・・なんか、今その理由がわかった気がする。


俺の能力なのか、かなり遠くまで見えるようなった。

ずっと遠くになんだか異様な存在が見えた。


鷹の姿ににているが、その全身の羽毛は青みがかった銀色で、常に微かな光帯びている。

大きさも異常だ、さっきまでは鷹と同じくらいに見えたが、はるかに大きい、元の世界の自動車くらいはありそうだ。瞳は雷のように鋭く輝き、爪や嘴はかなり鋭そうだ。

巨大な鷹の姿をしたサンダーホークだった。雷の魔力を纏い、嵐雲を従えるかのように悠然と滑空している。単独行動の魔獣としては、今の俺にとっては脅威的な存在だ。


どうやら、奴の縄張りにはいりこんだらしい。

「チィ、厄介だな」


サンダーホークが、その雷を帯びた翼を大きく広げ、咆哮と共に突進してきた。その一撃をまともに受ければ、この小さなカラスの体ではひとたまりもないだろう。


俺は、急上昇と急降下を繰り返しながら、サンダーホークの攻撃を紙一重でかわす。奴の目的は、その巨大な爪で捕らえ、雷撃で仕留めることだ。ならば、その攻撃の「軸」をずらせばいい。


次の瞬間、サンダーホークが狙いを定め、再び直線的な突撃を仕掛けてきた。その動きは速い。だが、俺の目は、その猛禽の軌道、そして雷のオーラの隙間を正確に見抜いていた。


俺は、自身の身に宿り始めたごく微かな風の魔力を、最大限に集中させた。全身の羽毛が逆立ち、微かな風の渦が彼の周囲に発生する。サンダーホークが目前に迫った、その時――

高速で体を回転させながら、サンダーホークの右翼の付け根へと突撃した。


「微風操作!」


回転する体が生み出す風の渦が、彼の突進にさらなる勢いを与える。それは、カラスの小さな体が起こせる、精一杯の「回転突撃攻撃」だ。


「喰らいやがれ!」


ガッ!という鈍い音が響き、俺の嘴と体当たりが、サンダーホークの分厚い羽毛の隙間、わずかながら露出していた関節部に命中した。雷の魔力を弾きながら、俺の小さな体は弾き飛ばされた。


しかし、その一撃は無駄ではなかった。サンダーホークは、予期せぬ衝撃と痛みにバランスを崩し、その巨体が空中で大きく揺らぐ。翼の付け根には、抉り取ったわずかな傷ができいる。

致命傷ではないが、その傷から雷の魔力が不安定に漏れ出し、体勢を立て直すことができない。


サンダーホークは、威嚇するように空中で旋回し、再び俺に襲いかかってきた。だが、その翼の動きには、先ほどの勢いない。俺の一撃が、確かに奴の飛行能力に影響を与えているらしい。


俺はは再び旋回し、今度は追撃せず、そのまま猛スピードでその場を離脱した。サンダーホークは、数度威嚇の叫びを上げた後、傷を負った翼を庇うように、ゆっくりと元の縄張りへと戻っていった。

「け!おとといきやがれってんだ」


なんとかサンダーホークを撃退した俺は、己の内に秘められた力の萌芽と、この異世界での生存術を、その身に刻み込んだのだった。


こうして、俺は異世界の空を堪能することができるようになった。


そんなこんなで、王都から少し離れた、街にいついた俺は、こっそり果樹園の実を頂いたり、人間が捨てた食い物を漁ったり、時々ワン公みたいな連中を揶揄ったりしながら平和に過ごしていた。

気のいいおっさんから手紙運びや周辺警戒とかだがを請け負ったりもしている。


ちなみに俺が人の言葉わ話すの街のみんなが知っている。

最初はびっくりされたけどな。


王都から晴れた理由?

なんか、見えない壁みたいのがあって飛びにくいから。


まぁ、こんな感じで俺の異世界暮らしは始まったのだけど

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