鯉のぼり
プロ野球好きには、鯉<龍ではないですね(苦笑)
※ 本羽 香那先生主催の【一足先の春の詩歌企画】参加作品です
キーワード:「鯉のぼり」
公園の池にでも棲みついて
撒かれた麩に群がる
魚合の衆で終わることなんてなく
そこから脱け出して
旗揚げするていどの野心は
どうも もちあわせていたようで
高く掲げた竿のてっぺんにまで
やっとこさ のぼりつめて
風に長い躰をなびかせながら
家庭を築いていたおまえは
まったく たいしたもんだが
その竿からも離れて飛び発てば
あの雲のうえあたりまでたどり着くころには
鹿のつのをにょきっとはやして
鰐のつらで 頬まで裂けた笑みを浮かべる
龍にでも化身できるだろうに
そこまでだいそれた野心なら
抱いてなかったのか
これまでで手に入れた いま 現在の
場所 役目 すがた 家庭に落ち着いて
それなりの満足をおぼえているのであろうことは
おまえが悠々と風に
躰を泳がせている光景からも見てとれる
公園の池を
おのれの器のでかさとはせずとも
のぼりつめた竿のてっぺんまでを
おのれの身の丈とした
そんな おまえの生きかただ
そこにけちをつけられるすじあいなんぞ
ひとつもないだろうし
おれは そんな おまえの生きかたを嫌いじゃないぜ
甦れドラゴンズ!!