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末の姫様は、冒険者になりたい

作者: かもめ

新しい短編を、投稿しました。

楽しんでいただけたら、嬉しいです。


広大で肥沃な土地。

魔獣が徘徊する森にも隣接しているが、ドラゴン等上位の魔獣が居ないため、冒険者の懐を温めてくれる下位の魔獣が生息しているだけ。

そう、我が帝国には明るい未来しか見えない、、、多分。


そして、その国の皇族の末っ子が私、ユリアです。

まだ、10歳ではありますが、母様譲りの黒髪に、父様譲りの紅い色の瞳をしています。

顔を、俗に言う美少女、だと思うのよ。

兄弟は、皇族にありがちな後継者争いもなく仲良しです。

父様が、母様を好きすぎるので側室もいませんから、皆同じ両親から産まれております。

唯一、問題があるとしたら兄弟に男しかいない。

我が母ながら、合計で5人も産んでます。

男、男、男、男、女。

はい、お分かりですね。

家族の愛を独り占めしている、末っ子姫なんです。

いりません。

私は家族愛より、自由がほしい。


そう、あれは去年の話。

よくありがちな生まれながらの婚約者?許嫁?私もおりました。

はい、過去形です。

私は、自分の婚約者である侯爵家の屋敷へと行くと、よくありがちなアハンウフンな事をしている最中でした。

ま〜、こんな子供が婚約者なんで気持ちは分かりますけどね〜。

よく覚えてないけど、5歳位年上だったのかしら?

それでも、自分の侍女との逢瀬って。

侍従が止めるのを聞かずに私室まで行って正解でしたよ。

同じ上位貴族として、侍女の色仕掛けに引っかかる男なんていらないわ。

私はまだその上の皇族だけどね。

せめて、巷で流行ってる運命の人?ってやつ?

アレの方がまだ、マシだわ。


フッ、ギャン泣きしましたけど。

顔だけはイケメンだったのよ。

もしかして、認めたくないけど初恋だったのかも。 

泣けてくるわ。

うん、忘れよう。

人生の汚点だわ。

その後の私の家族の怒りはすごかった。

経緯は省かせてもらうけど、結果私の元婚約者は貴族社会から笑い者となった。

一応、一人息子の為侯爵家ではそのまま後継者ではあったが、皇族の姫を捨てて侍女と婚約することとなった。

う〜ん、誰が捨てられたんじゃ、私から、もとい皇族から捨てられたんじゃ。


そんな激怒な昨年で私は学んだ。

そうだ、冒険者になろう。

唐突に思われるかもしれないけど、貴族社会に名をつなれるとあんなアホと結婚しなくてはならない確率が上がる。

うん、やはり冒険者になろう。

我が国の皇族の魔力は膨大なのは有名な話だ。

私は、自由が欲しい。

今日は久しぶりに家族団欒の夕食だ。

私の希望を伝えるのにピッタリ。


「「「何故だ!冒険者なんて駄目だ!私が無理だ、認めない。」」」


だまらっしゃい、シスコン共め。

あら、父様は寝てらっしゃる?

公務にお疲れなのね。


「マリア、なぜ冒険者なのかしら?あのカスの為に、決断したのかしら?フフフ、伯爵に格下げでは足らなかったかしら。子爵、男爵あたりがよかったのかしら?」


知らなかった。

そうか、侯爵でなく伯爵の後継者だったのね。

今回以外にも、おイタなことをしてたんだろうなぁ。

って、そんな物件を婚約者にするなんて酷いよね。


「あ〜、元から破棄目的の相手?」

「「「、、、。」」」


道理でおかしいと思ったのよ。

この兄達、シスコンが反対しなかったしね。


「冒険者、冒険者、我が愛しい娘が冒険者。、、、この、アホ共!何が結婚を阻止だきるだ。まともな公爵と婚約させておくべきだった。そうだユリアちゃん、なんなら下級貴族との結婚も許すよ。そして、この城に一緒に住もう!」

「イヤ!」


私の拒否権を発動するわ。

こんな溺愛家族の住む家なんかで住むと、ろくなことにならない。


「そうではなくて、もう結婚はしなくていいのよ。」

「「「「そうなのか?」」」」


まったく、小さい頃に『夢はお嫁さん!』って言っただけなのに。

母以外の家族がバタバタと動き始めたのよね〜。


「ユリア?」


お母様のお顔に、怒りのバッテンマークが見えます。

気の所為よね?


「ユリア?お返事は?」


顔を傾けて、絶世の美女である母は美しく、、、恐怖の大魔王に変身しかかっている。

なぜ?


「はい!」


フッ、目指す冒険者は負け戦は、逃げるが勝ちの世界。

恥?使命感?

馬鹿みたい。

死んだらそれまでじゃないの。


「冒険者になるの?」

「なりたい、いや、なります!」


お母様が、顎に手を添えて少し思案してらっしゃる。

そう、お気づきと思いますが、我が家族の最強は母。 

世間的には、王様である父が主導権を握っていると思われているけど、全く逆だから。

いや、愚王ではないのよ、賢王と名高いのよ。

でも、大恋愛からの結婚らしくて、父は母がすることを全て叶えたいらしい。

母が、おバカだったら傾国の悪女になってたと思うの。

私の顔立ちは、兄弟の中で唯一母似。

父の溺愛に拍車がかかるよね〜。


「そうなの?貴族籍はそのままでいい?」

「ん?」

「あら、同然じゃないの。私、娘との面会が出来ないなんて嫌だわ。」

「、、、結婚は無しでいいですか?」

「仕方ないわね〜。、、、あなた、ユリアったら冒険者になるみたいだから、死なない程度の力をつけないと駄目よね?」


お母様、お願いの形の命令なんですね。

私、修行しないと城という籠からでれないようね。

確かに、経験しながらのレベルアップを狙っていたけど、ある程度の実力をつけてからがいいよね。

薬草とか探すの!


お母様の言葉に直ぐに、お父様より宰相等、父の懐刀と呼ばれる優秀な方々が動くのが早かった。

一応、父からの命令を受けてから動こうよ。


シスコン兄達も、お母様には逆らえません。


「母上、私も一緒に受けてもよろしいでしょうか?」

「「「私も!」」」


馬鹿兄達、来るな。

皇族としての務めをしなさい。


「そうね、次代以外はいいわよ。」

「「「ありがとうございます!」」」

「なぜですか!納得出来ません!」


兄よ。

皇帝の世継ぎなんだから、諦めなさいよ。

ついでに、他の3人も補佐役として連れていけ。


「あら、後継者の教育は長いわ。身体を鍛えるのは、5番手くらいでいいと思うのよ?」

「グッ、母上。何か体調が、、、。そうだ、第二王子に次代、王太子を譲りたいと、、、、、。」

「兄上、いりません。私は、裏方が合う性分なんですよ。」


だろうなぁ。

二の兄上は、情報を握って裏から動くのがあってる。


「チッ、なら第三王子に、、、。」

「は?俺は、騎士団に入るから。皇帝とかに俺がなるって、無理がありすぎだ。」


だろうなぁ。

三の兄上は、完全な脳筋。

皇帝になったら、国が無くなるか二の兄上に暗殺されると思う。

いや、暗殺は無理だ。

脳筋あるあるで、戦闘に関しては天才的に強い。 


「クソ、脳筋の馬鹿は使えん。なら第四王子、、、魔法馬鹿か。使えん。全く使えん奴しかおらんのか!」


そう、四の兄上は魔法なのよね〜。

4人の兄上達は、能力が重なることもなくそれぞれの分野で突出した才能がある。

勿論、第一の兄上も統治者として広い視野も決断力もある。


「あれ?三の兄上、四の兄上?」

「「なんだ?」」

「修行いるの?だって、三の兄上は魔法無理だし、四の兄上も剣術無理でしょう?何するの?」

「「アホか。お前の修行を他に任せられるか!」」


は?

なんでその道の達人クラスに習うのよ!

まさか、お母様の狙いは、、、。


「そうよねぇ。陛下は、先生を探しに行ったけどここにいるのに、馬鹿よねぇ。宰相まで、動くなんて。」


ヤバい。

お母様のお顔が、駄目な方の笑い方してる。

お父様、そしておじ様方、ご愁傷様。

じゃ、ないわ!


「お母様、まさか、、、。」

「え〜、勿論それぞれのお師匠様の合格を頂いてから冒険者になってね。」

「「「お任せください。」」」


いや、二の兄上。

あなたに教わったら冒険者ではなく、暗殺者になるわよ。


「なるほどな。私もまだまだ修行が足りません。母上、負けました。」

「フフフ、貴方もしっかりなさい。海千山千の方々と互角以上に渡り合えなくては、やっていけませんよ。ま〜、貴方の場合は陛下より、周りに恵まれていますけどね。」


やられた。

この母だ。

結婚に関しては、あまり興味もなかっただろう。

気に入らなければ、なんとしてでも破談にするだろうし。

この美しい籠から出るのに、一番の難関は母だ。


「負けませんよ、お母様。私は、必ずや冒険者になってみせます。」

「ホホホ、気張りなさいな。」


母と兄達の笑い声が、腹ただしい。

負けないんだから、見てなさい。


末の姫様の試練は、続きます。


「みんな、笑ってられるのも今だけなんだら!ヤッてやるわよ!負けるもんか〜!」




 数多い小説の中から選んで頂いてありがとうございます。

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作者のやる気と、モチベーションが上がります。


好評なら、短編の形でまた続きを書きたいかな?って思っています。

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