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彼の願い

 天使のエルちゃんから、彩斗さんが願い事をしたと聞かされる。一体、何を願ったのかとても気になる。

 「彩斗さんは、夜空を見上げては、お星さまにミカさんの願いを叶えて下さいってお祈りしていたの」

「私の願い?」

「ミカさんが一日でも長く元気でいられることと、もうひとつ、ミカさんが若返ること」私は言葉に詰まった。

彩斗さんが、いつも私の身体を気遣ってくれることは良く知っている。

 だから、神様にその事をお願いしてくれるのも頷けるが、若返ることを願うとはどういうことか。

「彩斗さんはミカさんの小説を読まれたんじゃないかしら」エルちゃんの言葉に気付いた。確かに先日、発表した物語の中で愛する若い彼に見合う年齢に一日でいいから戻りたいと書いている。彩斗さんは折に触れ私の小説を読んでくれているので、そこに目が止まったのだろう。

 だからといって、若返るなど絶対不可能なことなのに、無理だと承知しているのに、神様に願ってくれるなんて。彼の純粋な、混じりけのない優しさに胸が熱くなる。私はあなたの為に何もしていないし、出来ないのに。本当に有り難う。

 「お母さんの時もお話ししたけど、寿命は神様がお決めになられるから延ばせないけど、若返ることは出来る」

「本当に?でも、彩斗さんの願いを聞いてもらえるのかしら?」

「はい。ミカさんが以前、ふたつめの願い事として、彩斗さんの地方公務員試験の合格を願ったでしょう。でも、私が何もしなくても彩斗さんは合格した。だから、今回がふたつめのミカさんの願い事になるの」

「それじゃ、もう一回、彩斗さんの願い事を聞いてもらえるっていうのね」

「そうなの」

 つまり、自分の願い事は通らないけど、彩斗さんの願い事はOKなので、彼の願いは私の夢が、叶うことだから、回り回って、私が若返りたいという願いが叶うという事になる。

自分の事は願わないで私の願いを叶えたいなんて、彩斗さんはやっぱり私の愛したひとだし、彼を好きでいる自分を誇りに思う。

 「若い姿でいられるのは36時間が限度なの」

「そんなに長くても良いの?もう、充分だし、本望です。有り難うエルちゃん」私は嬉しくて泣き出してしまう。彼女はニコニコ笑いながら「ミカさんの若いお姿みるの楽しみだ」

 私も笑いながら涙が止まらなかった。

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