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天使の願い

 堰を切ったように次々に友人たちが結婚して、私は孤独感にさいなまれていた。30才を過ぎた二人の友人が10才近く年上の人とお見合い結婚したのを最後に、私には一緒にご飯したり、旅行に行く友達は誰も居なくなった。結婚した友人たちは皆、子育てに忙しい。考え方の似ている母とは、喧嘩したことも、意見が違うこともなく、旅行したり、買い物やランチを食べたりと二人の暮らしはとても楽しかったが、好きだと思える人となど出会える希望もなく時間だけが過ぎて行った。

「ミカさん。天使の鈴の音色が聞こえたり、姿が見えたり出来るのは、ご本人の心の状態に依るの。ミカさんが、淋しくて、不安で、お友だちに良い感情が持てなかったら出来ないことなの」

「そうなのね」

「昔、私を助けてくれた頃の優しい心のミカさんに戻って欲しいって、私はずっとお願いしていたの」

私は急に今までのことが思い出されて悲しくて、エルちゃんの気持ちが嬉しくて、泣き出した。

「泣かないでミカさん。私が泣かしちゃんたんだ。ごめんなさいね」

「違うよ。エルちゃんのせいじゃない。あなたの優しい心が嬉しかったの」

エルちゃんは私の両手を握ると、小さいけれどはっきり聞こえる声で歌い出した。

「泣かないで、元気だして、私の大事なお友だちのミカさん」言葉が歌詞になっている可愛い歌だ。

「私の作詞、作曲。タイトルはお友だちのミカさん」エルちゃんはペロッと小さい舌を出して笑っている。私もつられて笑う。更に彼女も笑う。二人で声を上げて笑っていると楽しくなってくる。元気も出てくる。「ありがとう。エルちゃんのお陰で嫌なこと忘れてすっかり楽しくなった。笑うって素敵なことだね」私は本当にそう思った。

「ミカさん。これからはもう、人を妬んだりしないよ。人の幸せを喜べる優しい心のミカさんになれるよ」

「どうして、そう言えるの?」

「だって、ミカさんは彩斗さんを愛しているでしょう。自分の気持ちより、まず先に彩斗さんの気持ちや立場を考えている。どうしたら、彩斗さんが喜んでくれるかとか、笑ってくれるかとか思案している。それって愛だと思う。誰かを心から大事に思っている人は皆、人に優しくなれるから」

「エルちゃんの言う通りだわ。愛って素晴らしいものね」エルちゃんのお陰で心が洗われた気がした。

そして私を変わらせてくれた彩斗さん、彼に会わせて下さった神様と願ってくれた亡き母に感謝した。

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