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4 これが家族。


 貧乏で甲斐性はないが割とホリが深いイケメンで力持ちで時に厳しく普段はめちゃくちゃ優しいというビックリするくらい理想的な父親であるカイザ、同じく働き者で優しくて美人でカイザに惚れきっている母フィリアと、やっぱり顔立ちは整っていて磨けば絶対光る姉マイアと俺アルカスが一家の全員だった。


 家は生活はかろうじて生きていける、というレベルだったが、この郷では平均的な状態だったから俺以外の誰も不満を持っているように見えなかった。地主だって別に贅沢ができるわけでもなく、郷長の跡取りも開拓作業を手伝っているようなそんな「全員が協力し合ってかろうじて生きていける」状態だった。


 今の時期、厳しい冬の前で一通り収穫は終わっていたため、カイザと俺の仕事は荒れ地の開拓で、母親のフィリアと姉のマイアは郷長の家に行って収穫物の加工品を作る作業を手伝っていた。


 朝から働き、昼になると郷の民全員が郷長の家に行き、そこで昼飯を食べる。食事は郷に一つしかないかまどでまとめて焼かれたパンが一切れと、燃料節約のために郷長の台所の大鍋で郷の民全員分作られたお湯と見まがうばかりの薄いスープで、毎日同じ場所に郷の民全員が集まって同じメニューを食べた。


 食べ終わると再度仕事が始まり、太陽が沈みかけると終了。もう一度郷長の家で一切れのパンと薄いスープを食べ、後は家に帰って寝るだけだった。寝ると基本的にほぼ毎日夫婦の営みが始まり、なんというか家中の暗闇がピンク色を帯びて、俺は姉ともぞもぞする、という流れだった。


 娯楽がない生活だったからある意味それも仕方が無いのかも知れなかった。食事は基本一日二回であり、腹を満たす以外に味などどこかに忘れてきてしまったようなものであったし、そもそも腹が満たされるほど量も多くなかった。


 俺は絶望した。


 現実を忘れるために姉とのスキンシップに溺れた。


 すると翌日父親に仕事中、


「まぁ、その……なんだ。夜寝た後、マイアと仲良くするのはいいが、程々に、な?」


 と言われた。姉には母親から一言あったらしく、お互いに気づかれていたことに気づきめちゃくちゃ恥ずかしかった。

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