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二週間の幸福  作者: クスクリ
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そのⅥ

11月28日 13時15分 もふもふさんより

「朝早くからお疲れ様。趣味は人それぞれだし、それで好きとか嫌いのバロメーターになる事はないよ(^^)✨ちなみに私はJUJUやあいみょんやキングヌーを最近はよく聞くよ。こーたも、もし機会があれば耳にしてみてね。ただ、今ちょっとだけ凹み中。こーた聞いてーーーーーーー(´;ω;`)今日注射外しちゃった~ 患者さんに痛い思いさせちゃったのが自分なりにショック(´;ω;`)」

11月28日 14時10分 コータより

「今日の昼御飯は駅で待機中にパン買ってきてバスの中で食べたよ。元気出して、す・ず・か!親父、糖尿病で2ヶ月に1度採血に行ってる。いつだったか、腕がぷっくり腫れあがってたから、どしたん?って聞いたら、針刺し直したあと腫れたんやって。すぐ元に戻るさって笑ってた。親父の場合、腕の血管が探し難くて看護師さんにとっては鬼門なんやって。すずかのお勧め、今日帰ったらユーチューブで聞いてみるよ。明日は休みやから夜更かしできるしね。」


「JUJU」、初めて聞く名前だ。すずかに聴いてみてって言われたら即実行だ。ユーチューブで検索して三曲、視聴してみた。バラード調の良い曲だ。関連して、コメント欄に自殺した三浦春馬の名前がよく出てくる。JUJUはもう四十を超えているが、ずっとNHKの歌番組で三浦春馬と二人、MCをしていたようだ。紅白歌合戦にも出場するメジャーな存在だったのに、テレビの歌番組を全く見ない俺には分からなかった。

 こう、具体的なアーティストの名前を出したりされると疑念を差し挟む余地が段々となくなっていく。すずかのコータに対する想いが犇々と伝わってきて暖かい気持ちにされていく。会話が完全に噛み合って心と心が打ち融けたメール交換のなんと心地好いことよ!


11月28日 14時47分 もふもふさんより

「今日帰ったら音楽是非聴いてみて感想聞かせてね✨パパさんの話を出して、フォローしてくれてありがとうね(´;ω;`)言い訳になっちゃうかもだけど年配の患者さんだと血管が埋まっちゃってて見え難い事が多いの(´・ω・`)今日はあんまり食欲出そうもないな(^^;)」

11月28日 16時33分 コータより

「感想、もちろんそのつもりだよ。すずかはプロフに車ありってなってたけど、職場には車通勤してるの?俺は勿論、車通勤してるんやけど、30分以上掛かる。俺の車、買ってまだ4年やけど、もう9万キロ超えてる。来年の10月が車検なんやけど、新車にしようか中古にしようか悩み中。この前、新潟にいる親友から連絡があって、総額230万で新車契約したんやて。羨ましい!すずかは夕食はいつもどうしてんの?」


 この日は土曜日、俺は嫁と耶馬溪町の旬菜館で天雲龍の幕の内弁当を食って、紅葉の時期は今日明日で最後だろうと深耶馬溪の六匹の猫がいる炭火焼鳥屋に行ってみた。観光客、先週に比べてめっきり減って、県道・森耶馬溪線を歩く人の姿も疎らだった。これなら、直接店の前に駐車できるだろうと踏んだが、その通りだった。

 店のオヤジ、俺が、「猫がおらんね」と訊ねると、「寒いもんで出て来んのよ」と、プレハブ小屋の店の奥から二匹引っ張り出して来てくれた。勿論、注文したのは炭火焼鳥だが、嫁の希望を叶えて、焼き椎茸も追加注文した。千円の出費だった。

 すずかから、注射失敗のメールを貰ったのは本耶馬溪のレルトラン洞門の駐車場での休憩中。ありきたりに、「失敗くらい誰でもあるよ。気を落とさず元気出して」と打とうとしたが、俺らしくない。結構考えた。婉曲的な励まし方が功を奏したようだ。

 それにしてもすずか、感性が鋭い。頭が切れる。同い年にしては精神年齢がコータよりずいぶん上に感じる。コータ、すずかに付いていけるのか、不安になる。


11月29日 17時27分 もふもふ さんより

「こーたの4年で9万って相当な数字だね(笑)私は職場までは車通勤で片道30分掛からないくらいだよ✨お友達お金持ってるね~(笑)✨ちなみ夕食は出来るだけ家で自炊して食べるようにしてるよ(^^)実家だけど自分で作るのが好きなの。こーたに話して凄く楽になった。こうして話聞いて貰えてるだけで気持ちが全然違うよ(^^)ありがとう♪こういう時に親身になってくれる存在って大事だね(〃ノωノ)」

11月29日 18時4分 18時4分コータより

「俺が将来のことでめっちゃ悩んだんは今年の4月かな。去年の今頃、大型二種免許取って、これでやっと念願だったバスの運転士になれると張り切って就活に頑張ったん。その甲斐あって、福岡のある観光バス会社に就職が決まったよ。十数万掛かって一人暮らしのアパートも探して、2月・3月と研修こなしていった4月、コロナの大流行。会社、はっきり辞めろとは言わずに、「未経験で入ったのはお前だけや。未経験者はほとんど使い物にならんけど、世の中の流れで仕方なく採ったんや」って、ねちねちいじめてくるん。ほいで、「もうお前に研修する気はない。身の振り方は自分で考えてくれ」げな。で、辞めたん。俺には親友が三人おるんやけど、無職になった俺を慰めてはくれた。でも、一人は小倉にいるけど、あとの二人は山形と新潟やから。あのとき、すずかが居てくれたらなぁって、今ふと思った。でもすずかだったら、男のくせに泣き言言い捲る俺に、ぴしっと叱咤激励してくれたかも。しっかりして!あんた男でしょ!何、一度くらい挫折したくらいで弱気になってんの!とか」

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