ゲットトレジャー、軽トラ女子
さあ、お待ちかねの入手アイテムのお時間だ。
(これ私の感想ですよね)
「お、おぅ……怪物の死体って残らないんだ。」
軽トラちゃんのドリフト(血)祭りが終わってアナウンスも途絶えてから私は恐る恐る外に出てみた。
辺り一面真っ赤になっているかと思ったけど、砂浜は私がこの異世界に来たままの綺麗な景色が広がっている。
「結局、とんでもないファーストドライブになっちゃったな」
軽トラちゃんのドリフト中、乗り物酔いすることはなかった。
自分の強靭な三半規管に感謝。
だいだいさぁ、みーちゃんが前に
『もしも異世界に行くとしたら転移か転生って事になるんだけど、転移が召喚されたものならお城とか教会系の人工施設。普通の転移だったら山とか森がほとんどなんだよね。そこで初めて出会う異世界人は少女か実は凄腕の冒険者、もしくは強い動物たち。私は断然、狼系の動物が……』
「もふもふ好きだもんね、みーちゃん。海とかには行かないの?」
『海はある程度慣れて、新天地開拓みたいなタイミングかな?初っぱなから海の異世界転移作品は私、見た記憶ないよ。』
って言ってたのにぃ。
しかも初めて出会ったのがサファギン。
あ、敵モンスターはカウントしないんだっけ?
ブッブゥ♪
「軽トラちゃんも、お疲れ様。出来れば次はもう少しお手柔らかにお願いね。……で、この荷台に沢山乗っかった鱗とか骨とか魚肉とか何なん?」
気付いてはいたけど、なるべく見ないようにしてた怪しいブツの数々。
《アイテムを入手しました》
やっぱりか。
みーちゃん式異世界講座のおかげで、
予想は出来てたんだ。
出来てたんだけど、魚肉ってサファギンの……
「ナビちゃん、この魚肉って食べられるの……いや、食べても良いもんなの?」
《問題ありません》
「あ、そう。」
でもこれだけの量、私独りじゃ食べきれないなぁ。
……食べるよ。
ナビちゃんが問題ないって言ってるんだから、普通に。
母方のお祖父ちゃん家で鹿とか食べてたし、この魚肉もジビエみたいなもんでしょ。味は期待しないけど。
前向きに考えれば、ほんの2、3時間前に来たばかりの異世界で食料を獲られたのは幸運ってなるよね。味は期待しないけど。
「そうだ、技術点でキッチン変化ってあるよね。
ポイント足りそう?」
《はい。技術荷台キッチン変化を取得しますか?》
「ん、お願い。新しい技術取得しながらも軽トラちゃん、走らせても良い?」
《問題ありません》
このままここに居たら、またサファギンの群れに襲われるかもしれない。
サファ魚肉以外のアイテムの確認は後にして、いいかげん出発しよう。
もう、軽トラちゃんを初めて自分で運転する感動なんてふっ飛んでしまっていた。
ナビちゃん《ーーーーーー》
軽トラ女子「砂浜なのに走りやすいなぁ」
軽トラちゃん「ブッブゥ♪」