やっと走るか、軽トラ女子
初運転のドキドキは忘れられない。
《お待たせしました、技術自動反射機能の取得が完了しました》
お、終わった。
5分くらいか……長くね?
デマかホントか昔のパソコンはスイッチいれてから使えるようになるまで30分くらい掛かったらしいけど
ナビちゃんは、いつくらいの性能なんだろ?
《先程、戸倉様からのご質問ですが》
「そうそう、エンジンの掛け方。」
《はい。エンジンは戸倉様の「エンジン・スタート」のお声で起動します》
スマートスタートってヤツか。
最近の軽トラックも進んでるんだね。
まぁ、無人でドリフトする軽トラちゃんだから今更驚かんぞ。
「んじゃま、エンジン・スタート!」
《エンジンを起動します》
ドゥルルン
ドゥルルン
ドゥルルルルン
ピコン
{おめでとうございます、はじめてのエンジン起動を記念して技術点500プレゼント致します}
エンジンが掛かった途端、ナビちゃんとは違う声がスーパーマーケットの店内アナウンスの様に頭上で流れた。
『もしもスキル制の異世界ならね、スキルポイントを貯める為にイベントをクリアしたり敵を倒したりするんだけど最初の頃はチュートリアルを終えたらだいだい貰えるから絶対にやるべし!ポイントは貯めてなんぼ、使ってなんぼだよ。』
エンジン掛けただけで技術点が貰えるってそういう事なんだね、みーちゃん。
何にしても、私の軽トラちゃんの初運転。
心臓バックバクするなぁ。
この異世界に来る前も来てからも、右往左往すら出来ないでただ流されているだけだった。
でもこれから……
ここからは私が軽トラちゃんのハンドルをしっかり握って
私自身が自分で進む道を決める。
深呼吸ひとつ
シートベルト、よし
ギアをドライブにいれて
アクセルを徐々に踏んで
ドゴォォォォン!!!
軽トラちゃんの後ろに衝撃を受けた。
軽トラ女子「さっさと走らせてよ!」
軽トラ「ご主人~、後ろ痛いよぉ」
ナビゲーション《走行前に全方向を確認して下さい》