お手紙配達、軽トラ女子
紅玉が手に入ったので、パイシートで林檎パイもどきを作った。
グラニュー糖が大焦げした。
でも、甘酸っぱくて美味しかった。
「ごめん下さーい。」
木製の扉を開けつつ店に入る。
入り口の直ぐそばに受付が有り、右は食堂スペースになっている。
「はーい。いらっしゃい、泊まり?食事だったらあと半時待っとくれ。」
出てきたのは気風の良さそうな女性。
もしかして……
「あのぉ、もしや貴方がアリーさんですか?」
「え、うん。そうだよ、私に何かご用かい?」
「はい。実は南の漁村のターンさんから、アリーさん宛にお手紙を預かってきまして……。」
「ターンから?村で何かあったの?」
「いえ。サファギン騒動がおさまったので、そのお知らせかと。どーぞ。」
アリーさんに手紙を渡して1つの用事を終えた。
「わざわざありがとうね。届けてくれたお礼に何か食べてっとくれ。」
アリーさんが私を食堂に案内しようとしてくれた。
でも先にお魚買ってくれないか交渉しなきゃな。
「あの、実はお願いがありまして。」
「なんだい?」
「私が持ってきた魚をこちらのお店で買って頂けませんか?」
「魚?」
「はい。恥ずかしながら、現金を持ち合わせていないもので……出来れば今夜はこちらに泊まらせて頂きたいのですが……。」
「あぁ、それならボスを呼んでくるよ。買い付けはボスの仕事だからね。ちょっと待ってな。」
アリーが奥に引っ込みボスさんを連れて来てくれた。
……なるほど、【鳥の巣】のマークそのまんまの人だ。
アフロほどのまとまりがないボサボサ髪、頭爆発男。
「魚を買い取って欲しいんだって?」
「はい。」
「見せてくれ。」
ピンポーン
《氷詰め木箱の魚が排出されます、ご注意下さい》
きゅるるるるるぅ
ぶよよよん
《無限収納からの排出が完了しました》
《またのご利用をお待ちしております》
ふぅ、無事に出せた。
鳥の巣さんが品定めを始めた。
……
………
…………
「ボス、あんまり長い時間出しとくと折角の鮮度が落ちちまうよ。」
「はっ!……すまない、つい魚と話し込んでしまった。」
え?時間経過しないエリアに収納していたとはいえ、収納する前に活〆してある魚と話し込むってどういうこと?
「全て活きが良いな、買おう。」
「ありがとうございます。あ、常識の範囲内であればご主人の言い値で良いですよ。」
相場なんて分からないし。
2、3日泊めて貰えるなら少なくても良し。
「むぅ……1尾200イェンでどうだ?」
この世界の通貨、円かよ!!!
言葉は日本語、通貨は円。
だったら文字も日本語で良くね?
「あ、はい。それで。」
「うむ。……ついでにここに泊まりたいとも聞いた。1泊素泊まり2000イェン。夕朝食付で3000イェン。……どうする?」
夕朝食付安いな。
魚はとりあえず80匹出したから、16000イェン。
3泊夕朝食付けて9000イェンか。
でも、朝市とかも行ってみたいし……
よし、決定。
「今夜と明後日は夕朝食付で。明日は素泊まりでお願いします。」
「分かった。アリー、3階の端部屋に案内してくれ。」
「はいよ、ついておいで。」
ナビちゃん《どうやら、やっとトリノスに着いたようですね》
軽トラちゃん「明日にはボクたちを呼んでくれると良いんだけど」
ナビちゃん《そうですね。出来れば毎日戸倉様の魔力を頂きたいです》
軽トラちゃん「ナビちゃん、ボクってご主人の魔力とガソリン以外は食べちゃダメなの?」
ナビちゃん《………実はまだ有りますが、戸倉様が聞いて下さるまではお話し出来ないのです》
軽トラちゃん「もしかして、そういうの他にも有る?」
ナビちゃん《はい。もどかしいです。》




